第4章 新たな戦い
一行が海を出て、3週間近く経った。
「(ワシがいたのはカーワ村というとこじゃったな。一見中世ヨーロッパみたいじゃったが、この地図を見るとあの国はアメリカ辺りか……ならこのまま行けば、日本らしき国に着くはずじゃ)」
そして……
「陸じゃ!皆の者、陸が見えたぞ!」
と、ドーラが大声で皆に伝えた。
「やったなロウ」
「うん。父ちゃん、母ちゃん、僕たちついにたどり着いたよ」
「海辺に人が数人おるのう」
だが、海辺にいる者たちは、突如現れた謎の船に警戒していた。
一行は話し合うため、船から降り、陸へ上がった。
「ロージア、ホンヤックの実を」
「はい」
ロージアはホンヤックの実を与えようとしたが、警戒され、さらに海辺にいた者たちは手から炎を出し、攻撃しようとしていた。
その時、龍馬が日本語で話しかけた。
「ワシらは敵じゃないき」
すると海辺にいた者たちの一人が、なんとドーラたちの国の言葉で話しかけてきた。
その者は30代くらいの男性であった。
「お前たち、秀吉の手下か?」
「ひでよし?」
「その名はワシと同じ日本人か」
「やはり手下か」
男はそう言って、ドーラたちに向けて炎を放った。
だが、ロージアが水の魔法でかき消した。
「私たちは海を渡ってきた者たちです。敵ではありません」
「……ミン、ツラノ、レオ、マーカセルクレンダ(皆、こいつらの事、俺に任せてくれんか)」
「ルドース?(どうする?)」
「……ラークサン、マカセルダー(ラークさんに、任せよう)」
「俺の家でお前たちの尋問をする。ついて来い」
ドーラたちは男の言うとおりにした。
しばらく行くと小さな村があった。
家の作りはまるで日本の時代劇に出てきそうな作りであった。
「江戸時代の日本みたいぜよ。この世界は一体……」
龍馬の頭の中はパニック状態だ。
「ここが俺の家だ」
一行は男の家に入り、そして尋問が始まった。
「俺の名前はラーク・シエルだ。この紙にお前ら全員の名前を書け」
一行は紙にそれぞれの名前を書いた。
「中岡龍馬なんて読むんだ?」
「なかおかりょうまだ」
「変わった名だ。本当は秀吉の手下じゃないのか?」
「そんな奴ワシらは知らん」
「ふ~ん。まあいい……海を渡ってきたといったな」
「そうじゃ。ワシも一つ聞きたい。どうしてお主はワシらの言葉が分かるんじゃ?」
と、ドーラが訪ねた。
「実はな5、6年前にも男が一人、海を渡りこの国へ来た者がいる。海辺で気を失っていたところを俺が助けた。そのときに男からホンヤックの実を貰い、お前たちの言葉が分かるようになった」
「その男の名は?」
「ブラック・シップ」
「何じゃと!奴はこの国に居るのか!?」
「俺はサーツ隊という悪者を捕まえる組織の隊長何だが、悪人を助けてしまったようで……俺の正体を知ると奴はすぐさま俺の前から姿を消した」
「何者なんだ?そのブラック・シップって奴は?」
「そうか。龍馬は知らんわな。ブラック・シップは6年前まで、ワシらの国の村や町を襲って物を盗む盗賊集団、髑髏団の頭じゃ」
「でもドーラ様、髑髏団は全員捕まったんじゃないんですか?」
と、ロウが訪ねた。
「ブラック以外はのう」
「ブラックってまさか死神とかって呼ばれてた奴じゃ……」
ソージョーが震えながら呟いた。
「安心せい。死神はワシの息子、リュウが殺した」
「あっ、そういえば、父ちゃんたちがそう言って言ったわ」
「噂では奴は秀吉の手下になったと聞く」
「主がさっきから言っておるひでよしとは何者じゃ?」
ラークは鋭い目つきで語り始めた。
「半年前、ここから西にあるサーカオウの街に突如、謎の黒い乗り物が空から現れた。そこから6人の男たちが現れ、そしていきなり攻撃をしてきた。それからしばらくして、俺は部下を連れて、サーカオウの街に行き、奴らを捕縛しようとした。すると男の一人が、お前たちの国の言葉でこう言った。我の名は織田秀吉。この世界は我らのもの……そして俺も部下も重症を負い、死者も13人出た。目が覚めた時、俺はこの村に戻っていた。そして、上の者から奴らには2度と手を出すなといわれた」
「じゃ、じゃあ、この国はどうなるんだ?」
とソージョーが聞いた。
「秀吉に支配させるだろう。この国だけじゃね~……お前らの国もいずれ支配されるぞ」
「でも僕らにはドーラ様がいる」
「このじーさんか?」
「この方は僕らの国を2度も救ったお方なんだ」
「この地図を手にした時から、ワシらの戦う運命は決まっていたのかもしれぬ」
「地図?」
「これだよ」
ロウがラークに地図を見せた。
「驚いた。こんなにも国があるとは……」
「ワシとロージアでサーカオウの街とやらに行ってくる」
「ワシも行く」
「龍馬……しかし、主はこの世界の人間じゃない。戦いに巻き込む訳にはいかん」
「おいおい、土方は別の世界から来たが、あんたたちと共に戦って散ったんだろう。もし、死んでも、戦いで死ねれば本望だ」
「……分かった」
「俺も行く」
「ラーク、主は上の者から手を出すなと言われておるのじゃろう」
「今日限りで俺はサーツ隊を辞め、一人の戦士として戦う」
「ラーク……分かった。では、レイカ、主はロウとソージョーを頼むぞ」
「はい。お気をつけて」
「行くぞ」
「おう!」
こうして戦士たちの新たな戦いが始まった。