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第4話 三人の朝と、小さな農園

 朝日が差し込む。


レンはゆっくりと目を開けた。


「……よく寝た」


体が軽い。

昨日の戦闘の疲れも、ほとんど残っていない。


「ほんと便利だな、あの草」


軽く伸びをする。


すると――


「起きた?」


すぐ近くから声がした。


「うおっ」


振り向くと、リリアがしゃがみ込んでいた。


「だから近いって」


「警戒が足りない」


「平和なんだからいいだろ」


「そうでもない」


リリアは横に視線を向ける。


そこには――


「……すまない」


セリスが正座していた。


「勝手に寝てしまった」


「いや、別にいいけど」


レンは苦笑する。


「むしろちゃんと休めたか?」


「ああ。驚くほど体が軽い」


「それはよかった」


セリスは立ち上がる。


動きに迷いがない。

昨日とは別人みたいだ。


「……本当に、ここにいていいのか?」


「昨日も言っただろ」


レンはあっさり答える。


「好きにすればいい」


「……そうか」


セリスは少しだけ目を細めた。



「で、どうする?」


レンは二人を見る。


「とりあえず、このまま野宿ってわけにもいかないし」


「拠点は必要ね」


リリアが頷く。


「なら、まずは家を作るか」


「家?」


セリスが目を丸くする。


「そんな簡単に――」


「まあ見てろって」


レンは近くの草を引き抜く。


そして、地面に軽く触れた。


「成長促進」


次の瞬間。


地面が、光る。


「……え?」


草が、一気に伸びる。


いや、違う。


草ではない。


太い茎が絡み合い、形を作っていく。


壁。

柱。

屋根。


「ちょ、ちょっと待て……!」


セリスが思わず声を上げる。


「これ……建物……?」


「そんな感じ」


数秒後。


そこには――


簡単な小屋が完成していた。


「……は?」


セリスが固まる。


リリアも、さすがに驚いた顔をしている。


「こんなこと、ありえない……」


「まあ、俺もそう思う」


レンは肩をすくめる。


「でもできるから仕方ない」



「……すごい」


リリアがぽつりと呟く。


その目は、少しだけ輝いていた。


「これなら、雨も防げる」


「だろ?」


レンは満足そうに頷く。


「とりあえず、ここを拠点にするか」


「……ああ」


セリスも小さく頷いた。



それから、しばらくして。


「……なにこれ」


セリスが畑を見て固まる。


「作物、育ちすぎじゃないか?」


「まあな」


レンは笑う。


「一瞬で育つから」


「意味がわからん」


「慣れろ」


「無茶を言うな」


リリアがくすっと笑った。



「ほら、これ」


レンは収穫した野菜を差し出す。


「朝飯にするか」


「……いただこう」


セリスはそれを受け取る。


そして、一口。


「……っ!」


動きが止まる。


「うまいだろ?」


「……うますぎる」


セリスは真顔で言った。


そのまま一気に食べる。


「……これが毎日?」


「まあな」


「……ここに住む」


即決だった。


「早いな」


レンは笑う。



「……にぎやかになったな」


ぽつりと呟く。


昨日まで一人だった場所。


今は――


エルフと、女騎士がいる。


「悪くない」


そう思えた。



こうして――


レンの農園は、小さく始まった。


そして同時に。


三人の、のんびりした日常も始まる。

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