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第1話・暮れ行く空の朱さより~躍る炎に踊らされ~

第1章 旧都に潜む事件の面影



       第1話・暮れ行く空の朱さより~躍る炎に踊らされ~



 廃離宮の一角。



 西の塔跡の壁が崩れ、一階部分の一部が剥き出しになっているそこは、外側から見ただけでは気づきにくい。



 理由は、西の塔が裏庭に面する小島に位置し、崩れた壁の先が池になっているから。



 この大陸において、西側と言うのは基本的に最も『悪しき方位』と考えられ、忌避されている。



 それと言うのも、大陸の守護神であるディエルは『暁の女王』の異名の通り、夜明けの女神であるから。



 日の出の方角である東方を最も神聖な方角とし、太陽が最も高くまで昇る方角である南を正面とみなす。



 一方で、西側はその太陽が沈み行き、赤毛の魔女の髪色のごとく空を赤く、血の色に染めると考えられて忌避され、逆に北側は安寧なる眠りと、生命が再生するまでのひと時の休息を表すとされていた。



 つまりは、西側にある建物と言うのは、それだけで敷地の最も端であり、不浄の場とされている。



 実際に、この西の塔も罪を犯した者を収監するための監獄の役割を果たしていた場所。



 一見、窓も扉もないように見える一階が最も広く、地下に向かって部屋が作られていた。





 調査に訪れた一同の中から、まずは調査隊の面々が周囲の確認を始める。



 周辺に残された痕跡と、妙な魔力の反応などがないか、また、何らかの魔法が仕掛けられていないかを慎重に確認していく。



 討伐隊から参加させられている三人の呪師じゅしは、そんな調査隊の地味な……それでいて重要な……作業を、最初こそは小さくなって見ていたが、すぐに飽きて欠伸をしたり、だらけた態度を取り始める。



 分かりやすく魔物なりなんなりが残っていればまた違ったのであろうが、特に何もないようにしか見えない、面白いものもない旧都の廃離宮で、ただ待っているだけでは退屈になって……



「おい! 塔の中を見て来てやるよ!」


「は!?」



 一人が座り込んでいた地面から立ち上がると、他の二人を誘って歩き出す。



 驚いて、調査隊の中でリーダーを任されていた四十代くらいの見た目の男性呪師が目を見張る。



「まて! 不用意に……!!」


「誰に言っている! 俺たちは討伐隊の呪師だぞ!? 仮に本当に魔族が生き残っていようとすぐに退治してやるよ!!」


「そうじゃない!!」



 慌てて止めるが、怒鳴り返すだけで止まろうとはしない。



 半ば悲鳴じみた声で呼び止める調査隊側の呪師の様子に、護衛官たちの間にも緊張が走るが、本人たちはどこ吹く風だ。



「やめろ! そちら側にはまだ……!!」


「うるさいな! せっかく見て来てやると言っているんだ! 口出しするんじゃない!!」



 そこまで言われても、三人は何を臆病風に吹かれているのかと鼻で笑って池側へと回り込んでしまう。さすがに止めようと護衛官も三人動いた。



 直後――



 ざわりと、風もないのに空気が蠢いた。



 それを、呪師ではない護衛官たちも肌で感じる。



「「「……………っ!!!!!」」」



 びくりと、一度体を跳ねさせた三人の絶叫が辺りに響き渡った。



 ギョッとしたのは一瞬。


 すぐさま護衛官たちが剣を抜き、走る。



「っ!? ダメだ!! 近づくな!!」



 だが、池側に回り込む前に、先ほどから止めようとしていた呪師が叫ぶ。



 視線がそちらに集まる。



 空気が、三人を中心に魔力を伴ってうねる。



「「ふせろ!!」」



 その呪師と、一番年長の護衛官が同時に怒鳴り……瞬時に反応した全員が身を伏せた、次の瞬間、重い音を立てて三人を中心に火柱が空に立ち昇った。



「っ。魔法か?」


「火炎系の攻撃魔法だ! 黒魔法ではないが、おそらく()()()を込めて発動させている!! 鎮火までに時間がかかるぞ!」



 護衛官の、問うともいえない呟きに答えが返る。



「消火は?」


「無理だ。あの三人の全魔力が込められた魔法の火消しをするには我々が全員で挑んでもわずかに届かない」



 返答に、舌打ちを一つ。



「皇宮に伝令! 急げ!!」



 連絡要員を兼ねて連れてきた護衛官に命じる。



 すぐに、二人が身を翻して走り出す。



「できるだけ延焼を阻む! 総員! 準備!!」



 同時に、調査隊のリーダーを務める呪師の指示に、調査隊の呪師全員が詠唱を開始した。


第1章第1話をお読みいただきありがとうございます。


「不浄の場」とされる西の塔で、ついに恐れていた事態が起きてしまいました。


調査隊の静止を聞かず、池の畔へと向かった討伐隊の呪師たち。

立ち昇った巨大な火柱。

現場に取り残された調査隊と護衛官たちは、この異常事態を収束させることができるのでしょうか?


次回はその結末をお届けします。


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【第2部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第2部・レッド・フレイムの残照】

(https://ncode.syosetu.com/n5488lq/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第2弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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