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エピローグ・願うは未来の祝福か~捧げる祈りは一抹の~

終 章 エピローグ



        願うは未来の祝福か~捧げる祈りは一抹の~



 夜が、安心して眠れるようになったおかげか、日中のアインの活動量が少しずつ増えていた。



 そうは言っても怪我はまだ完治していないので、基本的にはベッドの上で半分遊びのような機能訓練を受けさせたり、無理はしない範囲で室内を少し歩かせたりと言ったものが中心。



 他には、神官呪師学校の呪師寮で同室の兄弟子であるペルフィー=プリメーシャスが見舞いに来た後、アインの、一般教養の授業を担当している女性神官から絵本が数冊届けられたので、それを読んで過ごしていた。



 右手の指で文字をなぞるようにして一文字ずつをゆっくりと読み進めながら、アインが子供らしい高さのきれいな声で読み上げるのを、部屋付きの看護担当の女性神官が微笑まし気に見守る。



「……こうして、人びとは、仲良く暮らすように、なりました……」



 おしまい。



 最後の一文字までを読み上げて、じっと絵本を見つめるアインの表情に……どこか、翳りが浮かぶ。



「……仲良く、暮らせる……」



 その部分を、口の中で繰り返す。



「……アイン?」


「……ぁ……」



 見守っていた神官に、訝しげに声をかけられてハッと顔を上げる。



「……どこか、気になるところがありましたか?」



 優しく問われて、無言で首を横に振った。



「……いえ……みんなが、仲良く暮らせるのは……いいな……と、思っただけです……」



 それから、口に出して感想を伝えると、神官はそうですね。と微笑む。



 その微笑の裏で、神官が若干の後ろめたさを感じてしまったのは、実際には誰もかれもが仲良しこよしと言う訳ではない現実を知っているから。


 当然、アインもそのことは知っていて、だからこその少しの翳りだった。



「……この物語は、こうだったらいいな。という内容ですが……だからこそ、そんな世の中に近づけるように頑張りましょうね。という教えでもあります……」



 神官に言われて、アインもこくりと頷く。



「……はい……僕も、少しでも……お役に、たてるように……」



 アインはそっと絵本を閉じて、膝の上において、ゆっくりと十字を切った。



「……女神さまが……見守っていて、下さいますように……」



 大陸の守護神である暁の女王に祈りを捧げる。



 いまだ自分は幼くて、怪我も、なかなか治らなくて……


 できることなんて、何もないけれど……


 それでも、祈ることだけなら、できるから。



 同じように十字を切って、両手を胸の前で組んだ神官もアインとともに祈りを捧げる。



 どうか……


 暁の女王よ。


 願わくば……



 祈りの静謐な空気が、日が傾きかけた病室に満ちた。





「姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~」番外編・聖皇国列伝秘聞・第2弾


『皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞②~滞留するのは魔力ちからの残滓~』(完)


お読みいただきありがとうございます。


『皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞②』これにて完結です。


旧都に滞留する魔力の残滓、そして大人たちの思惑に翻弄されたインスとアイン。


最後に捧げられた祈りが、これから始まる激動の物語の中でどのような意味を持つのか。


さて、ここからは再び本編の舞台、第2部第5章へと物語は戻ります!


引き続き応援いただければ幸いです。


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【第2部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第2部・レッド・フレイムの残照】

(https://ncode.syosetu.com/n5488lq/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【今後の連載スケジュールについて】


次回は明日12時に番外編第3弾の公開を開始いたします。

引き続きお楽しみください!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


どうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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