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第4話・想定外の想定外~動いた札に戦慄す~

第3章 外堀埋める大人だいじんたちの思惑



       第4話・想定外の想定外~動いた札に戦慄す~



 キプラに呼び出されて呪師長室を訪れたインスは、そこでサティーラ公爵・ケルン卿オーヴァの姿を見て目を丸くした。



 皇帝筆頭秘書官を務める公爵本人が、わざわざ呪師殿に来るなど、普通はあり得ない。



「大変お待たせいたしました」



 若干の混乱を押し隠して拝礼すると、ケルンは軽く頷いて挨拶に応え、相対する位置……応接セットのキプラの隣……に座るよう促す。



「……失礼します……」



 一瞬躊躇うが、素直に頷き、キプラにも目礼して腰を下ろした。



「陛下からの出向命令をお伝えに上がりました」



 インスが腰を落ち着けるのを待って口を開いたケルンの言葉に緊張する。



 わざわざ、一介の皇宮呪師に対して、皇帝から直接出向命令などありえない。



 ましてやそれを、筆頭秘書官である公爵自身が伝えに来る?



 一体何を命じられるのかと背筋を凍らせたインスに、ケルンが伝えたのは夜間のアインの介護。



「拝命いたしました。……は……?」



 緊張のし過ぎで、反射的に返事をした後に聞き返してしまった。



「アイン呪師見習いの夜間介護です。と言っても、実際にラント呪師ご自身が世話をする必要はありません。彼が退院し、呪師寮に戻って授業を再開できるようになるまでの精神安定剤代りだそうですね」



 穏やかな声音で解説を加えてくれたケルンの声を聞きながら……



(……っ!!!??? ……ゾナール神官長!?)



 とんでもない人物を動かした張本人であろう、主神殿の医呪神官長を心の中で悲鳴じみた叫びで呼ぶ。



「彼にはできるだけ早く授業に復帰してもらい、一人前の呪師となって国に貢献して欲しいとのご意向です」


「………か、かしこまりました……」



 他に、何が言えるというのか……



 すっかり青くなっているインスを横目に、キプラが内心で嗤いを堪えて居ることなど気づくはずもなく……



「では、早速今夜からお願いします。行き来に関しては、皇宮から護衛官を同行させますので」


「……はい……」



 にこやかに告げるケルンにほぼ意識を飛ばしたまま頷き、ケルンがキプラと何かを確認し合って帰るのを見送る。



「……あの、呪師長……」


「皆まで言う必要はありませんよ。私としても、彼の退院と授業への復帰は望むところです」



 扉が閉ざされ、一呼吸、二呼吸。



 何度か意識して呼吸を繰り返した後、声をかけたインスに、キプラは手で口元を隠し、笑いを堪えて応える。



「……きっと、アムス校長も同じでしょう。彼女も、あの子の座学担当として気にかけていたようですから……」



 クスリと、笑いを零したキプラの言う通り、皇宮呪師学校の校長で、インスも時折指導を頼んでいる皇宮呪師のディオネラ=アムスもアインの容体を気にかけていた。



「……そうは言っても……」



 それから、キプラは少し、困ったようにインスを見た。



 ケルンの指示で隣に座らされたので、距離が近い。



 何を言い出すのかと、内心身構えながらも、インスも普段通りを心がける。



 残念ながら、皇帝からの勅令などと言うとんでもない事態に直面したばかりなので、普段通りとはいかないが……



「貴方にしか任せられない仕事もありますので……」



 眉を下げていうキプラに、内心やっぱりな……と思う。



 この御仁が、皇帝からの勅令だからと言って『多少の無茶』をさせなくなるはずもない。



 しかも今回の勅令内容は『夜間介護』。実態はただの添い寝だ。



 そこまでのことをキプラが知っているかは分からないが、付いていればいいのが『夜間』だけだとはっきりしている。



「無理はしなくてよいですが、そちらもお願いすることになると思います」



 だから、そう続けられても驚きはない。



「わかりました……」



 溜め息を堪え、そう返したインスは、ゆっくりと立ち上がり、一礼して部屋を出た。



第3章第4話をお読みいただきありがとうございます。


一介の呪師への命令に、皇帝筆頭秘書官である公爵自らが現れるという異常事態。


緊張のあまり反射的に返事をしてしまったインスですが、その任務内容はまさかの「添い寝(精神安定剤代わり)」でした。


とんでもない権力者を動かして外堀を埋めきった誰かの差し金に、インスと共に戦慄した方も多いのではないでしょうか。


一方で、勅命すらも「夜だけなら昼間は働けるよね?」と利用しようとするキプラ呪師長のブラックな微笑み……。


「想定外の想定外」に翻弄されるインスの明日はどっちだ!?


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【第2部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第2部・レッド・フレイムの残照】

(https://ncode.syosetu.com/n5488lq/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第2弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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