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10年前、私も好きに生きました。〜元婚約者様が捨てて、今更戻ってこようと思います〜  作者: ましろゆきな
第二章:蜜月と嫉妬の輪舞曲(ロンド) 

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第八話:独占欲の刻印

 鏡の中にいたのは、ルネの知る「ストイックな従者」ではなかった。


 いつもは喉元まで隙なく締められているボタンが二つ外され、鍛えられた鎖骨が覗いている。上質なシルクのシャツは、わざとらしく体のラインを強調し、耳元にはベルローズ公爵夫人が好むという派手な貴石が揺れていた。  香き立つような色気を全身から放つセドリックを見て、ルネは胸の奥が焼けるような不快感に襲われる。


「……完璧ですわ。それなら、あの夫人の目もすぐに眩むでしょう」


 ルネはあえて冷淡な声を出し、セドリックを見ずに書類に目を落とした。  


「完璧に仕事をこなしてきて。……貴方は、私の『最高の商品』なのだから」


「……『商品』、ですか」


 不意に、背後から熱い気配が迫る。  気づけば、セドリックの手がルネのデスクにつき、彼女は彼の腕の中に閉じ込められていた。


「お嬢様がそう仰るなら、期待に応えなくてはなりませんね。……ですが、このままでは、あのような女の前で『恋に落ちた男』を演じ切る自信がありません」


 耳元で囁かれる掠れた声。ルネの首筋に、セドリックの熱い唇が触れる。


「成功のために……出発する前に、勇気が出る『おまじない』をしていただけませんか?」


「なっ……ここで?」


「いいえ。……ここから先は、私一人のための『検品時間』です」


 抗う間もなくお姫様抱っこで寝室へ運ばれ、ルネはシーツの上に沈められた。  いつもは壊れ物を扱うように優しいセドリックの手が、今夜は驚くほど強引で、熱い。


「セディ、……待って、まだ昼間……っ」


「待てません。これから数日間、別の女の傍で貴女に触れられない地獄を耐えるのです。……今、ここで、貴女の熱を私の芯まで刻みつけておかなければ、正気でいられそうにない」


 セドリックはルネの服を剥ぎ取るように脱がせると、白い肌のあちこちに、わざと目立つような赤いしるしを刻んでいく。まるで、自分がいない間に他の誰も近づけないようにする呪いのように。


「あ……んっ、……っあ!!」


 ルネが捉えるのは、欲望を隠さなくなった男の激しい執着だ。  セドリックはルネの足首を掴み、自分の方へと引き寄せると、溜め込んできた情熱をすべて吐き出すように彼女を貫いた。


「……ルネ、見てください。……私の目だけを。……私の体に触れているのは、世界で貴女だけだ……」


 激しく重なる体。ルネの嬌声が、セドリックの理性を粉々に砕いていく。  彼は「最後」まで、そして「二度、三度」と、彼女が快楽で声を枯らすまで、その肢体を飽くことなく貪り続けた。


 ――これが、これから戦場ハニトラへ向かう男の、あまりに必死で、あまりに重い「誓い」だった。

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