水害
「イカシス! 学校行こう!」
「急にどうした」
「いや、イカシスだって試験受けてたじゃん」
「まあな」
「俺が魔法を教えてあげるよ。もちろん体術もね」
「それなら、よろしく頼む」
そして僕は、草原に連れていかれた。
「ここなら邪魔が入らない」
「まずは魔法の使い方を教えてあげる」
「魔法には2種類あってね。詠唱付きと詠唱なしがあるんだ」
「詠唱なしは想像力が大事なんだ」
「詠唱付きはとにかく莫大な魔力が必要」
「君に似合っているのは詠唱付きだね」
「君は技術こそないが莫大な魔力を持っている」
それはうすうす感じていた。
「つまり、君はしゃべるだけでいいってことだよ!!」
「しかも君、何もしてなくても勝手に体が再生するしさ、はっきり言って化けもんだよ」
「じゃあ僕が今から言うことを唱えてね」
「唱えるだけじゃなく、少しは想像しないとできないよ!」
「喋るだけじゃないのかよ」
「じゃあ行くよ。これは攻撃魔法じゃなく水を出現させるだけの魔法だ」
「神に願う。力なき我に大いなる恵みを与えたまえ」
「ほら、君も言って」
「神に願う。力なき我に大いなる恵みを与えたまえ」
そう唱えた瞬間。僕の手のひらからすごい勢いで水が吹き出した。
水は止まることなく出続けた。
今出ているだけでも10,000リットル以上はあるだろう。
「これどうやって止めるんだ」
「それはね。秘密!」
「は?」
「それは少しやばいんじゃないか?」
「君の魔力量を知りたいんだよ俺は」
「そうか」
2
その後10分は経ったが水が止まらない。
もう1,000,000リットル以上出ている。
ここら辺一帯が水浸しだ。
「思った以上に多すぎるな! これは少し効率が悪いね」
「次はこう唱えるんだ!」
「次のは攻撃魔法だからここら辺に害をもたらすだろうけどね」
「神に願う。我が道を遮る者に天使なる鉄槌を、イヌンダーティオー」
「ほら、言って」
「神に願う。我が道を遮る者に天使なる鉄槌を、イヌンダーティオー」
その瞬間、空からありえない量の水が降ってきた。10,000,000リットル位はありそうだ。
そしてここら辺一帯が湖となった。
草原に来たとは言え、水は王国の方まで流れていき、水害をもたらした。
だが、僕の魔力が尽きる事はなく、水は出続ける。
「さすがにやばくないか?」
「さすがにやばいかも…」
「だけどまだだ!」
「俺の今年の目標は有言実行だ!!」
「お前の魔力が尽きるまでまでやらせるぜ!!」
「わかった」