試験(2)
「こんにちは」
「こんにちは」
「私の名前はゼーンだ!」
「よろしく!」
「よろしくお願いします」
「それじゃあまず簡単な質問なんだけど、魔法は使えますか?」
「はい、使えます」
「ならオッケー」
思った以上に簡単すぎる試験だな。
「それじゃあ次に君はなぜ生きる?」
急に少し難易度が上がったな。
「わかりません…」
「そうか…君は素晴らしいね!」
「さっきから感情が全然動かない」
「実にとても興味深い人だ!」
「なら、これが最後の質問だ」
「『君は死ねるかい?』」
「死ねます」
そう答えると、ゼーンは不気味な笑みを浮かべた。
「いや素晴らしいね。だが私が言っているのは死ぬ覚悟を持っているかではないよ?」
「少し意味がわかりませんね」
「そうか、ならば説明しよう!」
「この世界には死ぬ覚悟を持った人間が少なからずいる。でもね覚悟を持っているからって実際に死ねるかは別なんだよ!」
「というと?」
「覚悟っていうのはそう思っているということだ。自分は死ねると思っている。でもそいつは生きてる! そいつが今生きている以上! そいつの覚悟は覚悟じゃない! いや覚悟でしかない!! 覚悟を持っているからって実際に死ねるとは限らない! なぜなら雑念が入るからだ! 普通の人間は何もない時に自殺したりしない! 悲しくもないし! 特に死ぬ理由もない! だけど死ぬ! そんな事をできる奴はいない。やってみるとわかると思うけど、今自分の腹にナイフを突き立ててみるんだ。でも、君は絶対に自分を刺さない。言い切れるよ。刺す意味がないから。それは私にとっては覚悟ないのと一緒なんだ」
「つまり君に私はこう言ってる」
「今、『自殺しろ』」
「なかなか吹っ飛んだ話だな」
「こんな試験全員にやっていたら1人合格しないと思うけどな」
「全員にやってるわけではないさ」
「レベルを3段階に分けてるのさ」
「このレベルまで進むんだ人は君と君の前の人だけだよ、今のところはね」
「僕の前の人は合格したのか?」
「いや、あいつは惜しかったね。でも不合格だ」
「そうか…」
「安心しな。試験には合格してる。私はね『学校』を作るならいろいろなやつがいたほうがいいと思っているんだ。馬鹿な奴に、真面目な奴、平凡な奴に、頭がいいやつ、そして、やばいやつ」
「全てが揃っている学校が1番素晴らしいんだ」
「そして、その全てが揃わない限り、私は試験を行い続ける」
「今、やばいやつの枠で合格してる人がいないんだよね」
「だから死ね」
「つまり生き返えれるって言うことか?」
「どうだろうな、それは答えられないね」
「まぁいいさ、何でも。ならば死ぬだけだ」
そう言って僕は、自分の魔法で自分を切り刻んだ。




