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時空の羽  作者: 夢宇希宇
47/48

第46話

賑やかな会話が聞こえて来る。


カメ男(カメオ)、これは何?」


「こちらは、海くらげのスープでございます」


「じゃあ、これは?」


「海くらげのナーゲ和えでございます」


「もう、こんなの食べれるわけないでしょう?」


女性が抗議の声をあげている。


カメ男と呼ばれた亀みたいな男が反論する。


「お嬢様、これは最高級料理でございますぞ。それに私めは『カメ男』ではございません。『ガスキュール』とお呼び下さい」


「カメ男のくせに生意気ね!」


その時である。


何かが落下したかのような地響きが聞こえた。


「バルディ様のお帰りです。お嬢様、どうかお召し上がりを」


ガスキュールは今にも泣きそうである。


「もう、その手には乗らないわよ。いくら私でも、こんなわけのわからないものは食べれないわ」


「ガスキュール、帰ったぞ」


その声と同時に2m近い大男が入って来た。


部屋は天井が高く、大男が100人入っても余裕がありそうな広さだ。


その中心にテーブルがあり、女性が座って、ガスキュールが食事の用意をしていたところだ。


「バ、バルディ様、お帰りなさいませ。お嬢様は、只今、お食事めにございます」


「ん?、それにしては、食事に手をつけておらぬようじゃな」


バルディはそう言い女性の食事を覗き込んだ。


「ガスキュール、どうらや姫の口には合わぬようじゃ。どれ」


そう言い、皿を取り上げると一口、二口・・・全ての料理を食べてしまった。


「美味いではないか。ガスキュール、ワシの食事より、良いのではないか?」


「滅相もございません。私めはバルディ様のお言葉通り、お嬢様にお食事を用意いたしました」


ガスキュールは完全にうろたえている。


「姫、いや、桜姫。食事を取らぬと体がもたぬ。姫の世界の食事をワシが取り寄せてやろうではないか。何が欲しい?。何でもかまわぬぞ」


桜はどうしたらいいのか迷っているようだ。


確かにバルディの言う通り、食べなくては体がもたない。


「ハンバーガーでいいわ。でも、モスバーガー以外はダメ。それと、アイスコーヒーも欲しいわ」


「よかろう」


バルディがそう言い、指をパチリと鳴らすとテーブルいっぱいのハンバーガーとアイスコーヒーが現れた。


「これでどうじゃ。食べてくれぬとワシも困るぞ」


余程であろうか、お腹が空いていたのか、桜は食べ始めた。


「私一人だと寂しいわ。あなたたちも食べてよ」


「ガスキュール、同席を許すぞ。ワシもこの食べ物に興味がある」


バルディの言葉を聞いたガスキュールが、飛び上がらぬくらいに喜んでいる。


「ありがとうございます。バルディ様」


「どれ、ワシも食べるとするか」


そう言い、バルディは席に着きハンバーガーを食べ、アイスコーヒーを飲み始めた。


「バルディ様、お嬢様、美味しゅうございます。ガスキュールは幸せにございます」


ガスキュールはそう言いながら、バクバクと食べ、飲み続けている。


「ほう、姫の世界の食べ物は美味いのう。今後は姫の世界の食事を取り寄せることにするか」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


桜は考えていた。


バルディのこの力の源は何かと。


桜は考えた。


どうしたら、元の世界に戻れるのかと。

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