第38話
「今から3日前のことです。黒い衣装を纏った謎の集団が我が国に突如現れました。その数、約20000人。リーダーを名乗る男は自らをバルディと名乗り、この世界を統治すると宣言しました」
やはり、バルディはこの世界にいた。
「我が国、そして、この世界がバルディと名乗る男の軍団に征服されるのに時間はかかりませんでした。2日です。たったの2日で私たちの世界は・・・」
ダラスの沈痛な言葉が俺に届いた。
俺はダラスにバルディを倒すためにこの世界に来たことを伝えた。
そして、ダラスが俺に提案してきたのである。
レジスタンスのリーダーになってくれと。
俺の力がバルディの軍団に対抗出来る最後の鍵だとも言われた。
しかし、バルディの軍団は約20000人。
一筋縄ではいきそうにない。
「ダラスさん、ここ以外にもレジスタンスがいると言いましたね?。まず、全員で情報を共有し、団結する必要があります。俺1人の力では、20000人の相手をするのは無理だと思います」
ダラスが壁に貼られた地図をテーブルに並べた。
この世界は文明が発達しているのであろう。
地図は俺の世界と同じ球を現す地図になっていた。
「我われの国はここです」
指を指した場所は地図では一番大きな大陸だった。
「海人さん、私たちの世界の中心は我われの国が秩序を守って来ました。それ故に、軍事力が世界一でした。しかし、その力を発揮したのは50年以上昔のことです。今は平和な世界なのです」
ここで一つの疑問が俺に浮かぶ。
バルディの軍団が現れた時に対処出来なかったのだろうか。
これから先のためにダラスに聞いてみる。
「ダラスさん、バルディの軍団は20000人でしたね。この世界にはもっと多くの軍隊がありそうなのですが、対処出来なかったのですか」
ダラスは少しうつむき、ことの真相を俺に話してくれた。
「バルディと名乗る軍団は、この国の軍隊をどういった力を使ったのかわかりませんが、自分の操り人形のようにしてしまったのです。先ほど我われを捕らえていたのは、我われの元同朋です」
バルディはきっと魔法を使ったのだろう。
「海人さん、あなたの使った不思議な力はバルディに通じるものがあると見ました。それ故に、あなたに我われレジスタンスのリーダーをお願いしたのです」
バルディは近いのだろうか。
「ダラスさん、俺の考えではバルディを倒せば、またこの世界は平和になると思います。バルディはどこにいるのですか?。それと俺1人ではバルディにたどり着きそうにありません。情報を下さい。それから作戦を決めましょう。俺はバルディを倒すためにこの世界に来たのですから」
ダラスは新しい地図をテーブルに並べた。
「これがこの国の地図と下水道の地図です。我われレジスタンスはこのオレンジの位置にあります。レジスタンスの数は約1000人。皆、バルディの軍団に捕らわれてしまいました。バルディの軍団20000人と元我われの軍隊を併せると約120000人になります。私には良い考えが思いつきません」
120000人だって?。
それに対し、レジスタンスは約1000人。
「ダラスさん、良く聞いて下さい」
俺にある考えが浮かんだ。