第37話
ガツ、ガツ、ガツ、ガツ・・・。
軍隊の軍靴の音が響く。
「海人さん、お願いします。我々、レジスタンスのリーダーになって下さい」
そう言ったのは40代くらいの男だ。
名をダラスと名乗ったのを覚えている。
ここは・・・下水道にある隠し部屋。
レジスタンスの秘密の部屋だ。
聞いた話では、レジスタンスは国中に散らばっているとのことだった。
そもそも、俺が今ここにいるのには理由があった。
鏡から出たところ・・・それは図書館。
俺の世界で呼ばれる図書館だった。
後から聞いた話だが、その図書館はこの世界で一番の蔵書を誇るということだった。
その図書館には2つの種類の人間がいた。
正確には、今、俺がいるレジスタンス側の人間と政府、軍事政権の人間である。
レジスタンスたちは、皆、手錠をはめられ、壁に押し付けられるように立たされていた。
その中に俺は鏡から出て来た。
驚いたのは政府軍の兵士たちである。
それは俺も同じだ。
政府軍の兵士、約20名が俺に俺の世界にある銃を俺に向け、今まさに発砲をしようとしていたからだ。
「海人、ワシに気を送れ」
ナナカミの声で我に返り、俺はナナカミに気を送った。
その時である。
1人の若い兵士が緊張に我慢出来ずに発砲した。
俺はナナカミを円を描くように振った。
1人の発砲が全員に移り、政府軍の兵士全員の銃弾が俺を襲った。
しかし、その銃弾が俺に当たることはなかった。
ナナカミを円を描くように振ったことで、気の膜みたいなものが出来ていたからだ。
銃弾は俺の目の前で止まり、ポロポロと床に落ちた。
兵士たちの発砲が止まる。
どうやら、弾切れのようである。
俺は兵士たちをナナカミで気絶させ、少し迷ったが壁際にいるレジスタンスたちの手錠をナナカミで断ち切った。
手錠は勿論、金属で出来ている。
その中にダラスがいた。
ダラスたちは、俺の技を見て、レジスタンスに加入して欲しいと、リーダーになって欲しいとのことだった。
状況がイマイチわからないので、この世界の様子をダラスに聞いてみることにした。
いや、ダラスの方から話してくれたのである。
「先ほどは危ないところを助けていただき、ありがとうございました。この国、いや、この世界は、今、破滅の危機に立たされています。少し長くなりますが、お聞き下さい。まだ名前をお聞きしていませんでしたね。私はダラスと申します。この地区の責任者として、現在、政府軍と戦っています」
「海人と言います。俺はある理由があり、この世界に来ました。信じてもらえるかわかりませんが、俺はこの世界の住人ではありません」
「海人さん、不思議な力をお持ちのようですね。どうか、我々に力をお貸し下さい」
それが、ダラスたちとの出会いであった。
そして、この世界がある人物の登場により、破滅へと進んでいることを知ることになったのである。
ダラスはそれを俺に話してくれた。