表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時空の羽  作者: 夢宇希宇
3/48

第2話

そうだった。


今日は桜ちゃんと約束をしていたんだ。


一緒に映画を観る予定なのだ。


ふと、俺の脳裏に桜ちゃんと初めて会話をかわした時のことを思い出す。


それは、大学入学したての一年生の時。


講義を受ける俺の隣に、少し距離をあけて座る女の子の存在に気づいたことからだった。


講義が終わるといつもは皆退室していくのだが、その日は違った。


「あの~、海人君ですよね?」


俺は驚きと、胸が爆発しそうな音をたてているのを自分で聞いていた。


「・・・うん、君は?」


「あの、私、和泉桜です。覚えて・・・いませんよね?」


その言葉で、俺は自分の記憶にその姿を照らし合わせてみる。


しかし、その記憶はなかった。


俺が答えに困っていると、彼女の方から話しを切り出してくれた。


「中学校の同級生だったのですが、普通わかりませんよね」


中学校?、普通覚えている人なんかいるのかな。


話しは続く。


「海人君、女の子に人気があって、私も海人君のファンの一人でした」


俺が女の子に人気だって?。


男友達はたくさんいたが、女の子から話しかけられたことはなかった。


今や俺の心臓はドクドクと音をたてて、それが彼女に聞こえているのではないかと心配し、落ち着こうと必死だった。


そして、思ってもみなかった言葉が彼女の口から出て来る。


「よかったら、昼食、一緒に食べませんか?」


断れるはずがない。


これが、桜ちゃんとの出会いだった。


母がウインクして、電話に出ろと促している。


想い出にふけっている場合ではない。


「もしもし、海人君?。携帯電話が通じなかったから、お家に電話しちゃった」


電話をかわると、真っ先に透き通った声が聞こえてきた。


そうだった。


アルバイトが夜遅くまであるので、桜ちゃんに電話で起こしてもらう予定だったのである。


携帯電話は2階の俺の部屋に置いてきているので、通じるはずがない。


「おはよう・・・違った。こんにちは、桜ちゃん」


今日の予定の確認をしておかなくては。


「今日もいつもの場所でいいかい?」


答えはすぐにきた。


「うん、待ってる」


俺は時間と待ち合わせの場所を確認し、急いで食事を済ませ、出かける準備に追われることになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ