第22話
体が痛い。
ぼんやりとした意識が回復すると、自分の置かれた状況がわかった。
両足には鎖に球状のおもりが付けられ、周りを見ると、そう、牢の中のようだ。
なぜ、俺はこんな状況に置かれているのか、暫くわからなかった。
「おい、海人。大丈夫か?」
この声は?。
そうだ。
ナナカミの声だ。
俺はバルディを追って、鏡の中へと入ったのだった。
鏡を出たところを何者かに襲われ、今の状況に至っているのだった。
どうやら、バルディに先を読まれたらしい。
しかし、俺を襲ったのは誰だ。
牢の前に一人の男らしき姿が見える。
頭はヒョウで、体は俺と同じ人間だ。
俺を襲ったのは、バルディではないのか?。
ランスゥは、この世界の住人は争いを知らない平和な世界だと言っていた。
しかし、俺の両足には鎖とおもり、そして、牢屋の中に閉じ込められている。
ナナカミに相談してみる。
「ナナカミ、ここはどこなんだ?」
ナナカミの答えは簡単だった。
「鏡を出たところをこの獣人たちに襲われたのじゃ。不意打ちというのじゃな」
なぜ、争いを知らぬ、この世界の住人が俺を襲ったのか疑問が残る。
しかも、鏡を出たところをタイミングよく不意打ちするとは。
その時である。
不遜な声が聞こえて来た。
「惨めなものだな小僧。こんな小僧にしてやられたとは、未だに信じられん」
聞き覚えがある。
オーベルの声だ。
気が付くと、牢屋の前で俺を見て笑っている。
「海人、脱出するぞ」
ナナカミの声が聞こえて来た。
しかし、ナナカミは今、俺の手にはない。
俺の手の届かないところに立てかけられている。
ナナカミの判断は早かった。
「海人、ワシを呼べ。急ぐのじゃ」
ナナカミの言う通り、ナナカミを心で読んでみた。
ナナカミは俺の手に納まり、淡く光を放っている。
驚いたのは、オーベルだ。
「小僧、やる気か!。その状況で何が出来る」
「海人、この邪魔な鎖はワシが断ち切る。その後に、オーベルの相手をしてやろう」
ナナカミがそう言うと、体が自然と動いた。
両足に付けられた鎖は、見事な断面を見せ、俺を解放した。
「海人、このまま牢屋を破り、オーベルを倒すのじゃ」
ナナカミの言葉に従い、牢屋を破った。
鉄で出来ていたであろう鎖、それに牢屋をナナカミは簡単に断ち切ってみせた。
次の相手は、オーベルである。
牢屋を守っていた獣人は、驚き、逃げて行った。
オーベルの顔が引きつっている。
「オーベル、今度は逃がさないぞ」
俺は、オーベルに向かって宣戦布告した。