第17話
「それでは始めるとするかの」
俺の目の前に一枚の鏡・・・古びた古城にでも飾ってありそうな鏡が宙を飛んで現れた。
宙に浮くその鏡は、この次元の間のどの鏡とも違い、曇り、時が止まっているかのようだ。
ランスゥがその鏡について説明しようとしていた。
「海人よ、この鏡には奴、バルディをワシが封じ込めた鏡なのじゃ」
話しは続く。
「バルディは、そう、海人、お前さんの世界で言う「魔法使い」、しかも、強大な力を持ち、邪悪な心を持っておる。そのバルディを再度鏡に閉じ込めなければ、いずれこの次元の間も奴に支配され、全ての世界に災い、不幸がもたらされることになる」
魔法使いだって?。
俺にはランスゥの言葉が信じられなかった。
その心を読んだかのように、ランスゥは話を続けた。
「海人よ、お前さんの強く清い心が必要じゃ。しかし、今のお前さんには、バルディには到底敵うまい」
当たり前だ。
魔法使い相手にどう戦えばいいのだ。
「そこで、海人、お前さんにいくつかの力を授けようと思う。知っておるぞ、合気道というのじゃな。それも役に立つじゃろう」
ランスゥが一度目を閉じて開いた時に一本の剣・・・長剣らしきものが現れた。
もはや、何が起ころうと驚くことはない。
よく見るとその長剣は、刃は所々が欠けており、表面には錆も見てとれる。
俺の心を読んだようにランスゥが言った。
「海人よ、その長剣を手に取ってみるがよい」
俺には選ぶ道はないので、素直に長剣を手にしてみた。
驚くことに、長剣は光を発し、その姿を変えようとしていた。
刃の欠けはなくなり、鋭さを蘇らせ、錆も消え、光を放つようだ。
ランスゥがニンマリとして話を始めた。
「海人よ、合格じゃ。どうやら、その剣に選ばれたようじゃな。その剣は持つ者の気によって、本来の力を発揮しするものじゃ。さすれば、剣にも使い手を選ぶ権利があるのじゃ。海人、お前さんは選ばれたのじゃ」
俺は手にした長剣を改めて良く見てみる。
日本刀ではない。
どうやら、西洋の剣のようだ。
「おい!、若いの。良い清んだ気を持っておるな。しかも、こんなに強い気は初めてだぞ」
ん?。
ランスゥの声ではない。
どこからか声が聞こえる。
「ここだぞ、わからんのか。お前さんの手にしておるのは何じゃ」
???。
剣がしゃべった?。
「その通りじゃ」
ランスゥはまたニンマリとして話を始めた。
「海人よ、その剣は「青龍剣」じゃ。柄を見てみるとよい」
俺はランスゥの話のままに柄を見てみた。
驚くことに、柄には龍らしき姿が浮かびあがっているではないか。
青龍剣から声が聞こえる。
「わしは青龍剣と呼ばれておるが、本当の名がある。それを知った者にワシは力を貸すことにしておる」
本当の名前?。
「教えて下さい」
俺の口から自然と言葉が出た。
「よかろう、ワシの名は「ナナカミ」じゃ。よく覚えておくのじゃぞ」
ランスゥがナナカミについての説明をしようとしていた。
「ナナカミは、持つ者の気で力を発揮するのじゃが、選ばれたのは、海人、お前さんで二人目じゃ。わかっておる。剣が使えるかどうかじゃな。ナナカミには命と言っていいかの。それがあり、手にすれば、使い手の気の力で自然と動いてくれるのじゃ。故に、この剣をお前さんに授けたのじゃ」
頭がおかしくなりそうだ。
この次元の間の存在といい、しゃべる剣。
ランスゥは全てお見通しのようだ。
「海人よ、この次元の間では、気づいておるかもしれんが、時間はその歩みを止めておる。さすれば、詳しく説明しようぞ」