表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時空の羽  作者: 夢宇希宇
16/48

第15話

光が体を包む感覚に襲われる。


意識は遠く、自分を遠くから見るような感覚であった。


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「海人、大丈夫か?」


声が聞こえる。


父の声だ。


「父さん・・・」


父が俺の体を揺さぶるように話を続ける。


「海人、何があった?。時空の鏡に入れなかったのか?」


父の言っている意味がわからない。


「父さん、何のことだよ。時空の鏡に入ったよ。そして、ある人物と出会ったんだ」


父に疑問の表情が見てとれる。


「海人、今、時空の鏡に入ったと思ったら、はじき出されるように出てきたぞ」


「???」


一つのことが頭をよぎる。


どうやら、時空の鏡の中の次元の間では、時が止まっているか、その進行がもの凄く遅いらしい。


時間が惜しいので、父に詳しくは説明出来ない。


そうだ、あれがあった。


自分の右手を見てみる。


ランスゥから渡された手鏡だ。


「父さん、詳しく説明している時間はないけど、俺は時空の鏡に入り、ある人物と出会ったんだ。今、それを証明してみせるよ」


俺は右手に持つ手鏡に意識を集中させた。


両目には赤い羽が浮かび上がる。


手鏡が淡い光を放つ。


そして、左手を手鏡の中へと入れた。


誰かが手を握り返してきたのがわかる。


俺は思いっ切り、左手を手鏡から抜き出した。


現れたのは、一人の女性だ。


続いて、もう一度、左手を手鏡に入れた。


同じく、握られた感触を確かめてから、左手を手鏡から抜き出した。


今度は一人の男が現れた。


父が叫ぶように言葉を発した。


「伊東君、それに、高木君」


父に呼ばれた二人は父を見ると声を上げて叫ぶ。


「所長!!」


安心したように父が応える。


「二人とも、無事だったんだな。安心したよ。海人・・・良くやってくれた」


俺にとって、二人はどうでもいい存在だったが、父の喜ぶ顔を見るとホッとした。


「父さん、これから、また俺は時空の鏡に入って、桜ちゃんを連れ戻さなければならない。だから、また時空の鏡に入るよ」


父に少し困惑した表情が浮かぶ。


「海人、時空の鏡に加える電力を溜めるために、今からでは半日はかかってしまう。時間が欲しい」


俺にはその必要はない。


「父さん、俺は時空の鏡の中である人物に出会い、ある力をもらったんだ。だから、その必要はないよ」


1秒でも時間が惜しい。


「父さん、桜ちゃんを連れ戻してくるから」


父にそう告げ、俺は時空の鏡に意識を集中させた。


両目には赤い羽が浮かび上がる。


時空の鏡は、今や俺の姿を映し出している。


俺は何の迷いもなく、時空の鏡へと入った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ