旅の始まり
ロスタン王国を出国した私は、追放されたとは思えないくらい清々していた。
これからどうしようかな。
勢いよく出てきたのはいいけど、この先どうするか決めてなかった。
でも不安な気持ちはなくて、むしろ初めて国外に出られてワクワクしている。
まずは食料と宿を確保しよう。
目的が決まった私は、曖昧な情報だけで隣国を目指して歩き出した。
いつか読んだ本に森には魔獣とか魔物がいるって書いてあった気がするけど何もいないみたい。
結構昔の本だったから、今とは違うのかな。
私は躊躇うことなく進んで行った。
森をしばらく進んで行くと、ププの実がなる木がたくさん生い茂る場所についた。
ププの実はそのまま食べられるし、日持ちもするし、旅のお供に最適かも。
私は実をとって、かばんに入る分だけ詰め込んだ。
とりあえず食料は確保。いや、全然足りないけどね。
休んでる暇はないので、また歩き始めた。
少し進むと、どこからか水の音が聞こえた気がした。
耳を澄ませてみると、やっぱり水の音だ。
川があるのかな。喉乾いたし、水飲みたい。
私は水の音がするほうに行ってみることにした。
狭くて歩きにくい道のない道を進んで行くと、水の音が近づいてきた。
さらに進むと小さな川が見えてきた。
川の流れは穏やかで、水はとても澄んでいた。
歩いてきてよかったぁ〜。
私は手を洗い、持ってきた水筒に水を入れ、さっきとった実をきれいに洗った。
もう結構歩いて疲れたし少し休憩したいというのが本音。
でも日が落ちる前に今日の宿を見つけたい私は休憩を諦めて、また歩き始めた。
歩き出したところで、行く道の先に冒険者のような人たちが何人かいるのが見えた。
格好からして冒険者っぽいけど、もしも盗賊だったらおわり。
でも他に進めそうな道もないし、行くしかない。
「大丈夫か」
「ひとまずここで休もう」
近づいていくと何人かの声が聞こえてきた。
「あの〜何かあったんですか。大丈夫ですか」
なにか困ってそうな気がして、私から声をかけてみた。