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偽物の聖女

「王国に2人も聖女はいない。ナタリア、お前は偽物だ」

声高々と言い放ったのは、この国の王太子であるエドモンド・ロスタン。


 突然のことに私は言葉を失った。

 その場にいた貴族たちも王太子の突然の宣言にざわつき始めた。


 それもそのはず。私ナタリアは、今日この場で正式に聖女として認定されて、聖女になるはずだったのだから。


 言葉を失った私をよそに王太子は続けた。


「そもそも孤児院出身の平民であるお前に聖女の力があるわけない。本物の聖女はここいるニーナ・バルデム男爵令嬢だ」


「たしかに平民が聖女なんておかしいと思っていた」

「エドモンド様のおっしゃる通り、ニーナ男爵令嬢が聖女なのかもしれない」

王太子の言葉に貴族たちも同調し始めた。


 納得できるわけがない。

 たしかに私には両親がいない。孤児院で育った平民だ。それでも聖女の力によって光る聖なる石を私は光らせることができたのだから、絶対に力があるはず。


「エドモンド様、私は聖なる石を光らせることができました。それも白く強い光でした」


 私の言葉を聞いた王太子はニヤリと笑った。


「そうやって我々を騙していたのだろう。あの聖なる石は金色に光るのだ。お前は白く光らせたと言ったが、それこそが偽物である証拠。ここにいるニーナは金色に光らせることができた」


 王太子がそういうとニーナ男爵令嬢は、聖なる石に近づいた。すると、瞬く間に聖なる石は金色の光を放った。


「ニーナ様が本物の聖女だ!」

「ナタリアは偽物だ!」

光を見た貴族たちは一斉に騒ぎだした。


 たしかに光っていたが、そもそも聖なる石が金色に光るなんて聞いたことがない。聖なる石は聖女の力によって白く光り、その光の強さに比例した聖女の力をもっていると言われている。


 どう考えてもおかしいのにその場にいる全員がニーナ男爵令嬢が本物の聖女だと言い出した。


 おそらく国の象徴である聖女は、平民より貴族のほうが良いのだろう。貴族の中には平民に対して聖女様と呼びたくないと言う者も多くいるのだ。


「ナタリア、どんな手を使ったかは知らないがお前は我々を騙した。よって国外追放とする。さっさとこの国から出ていけ」


「かしこまりました。すぐにこの国を出ていきます」

もうどうでもよかった。自分たちにの都合の良いようにしたいこの人たちに何を言っても無駄。


「待ってください!国外に追放だなんて、あまりにも可哀想です。私のもとで奉仕活動をしながら罪を償っていただくのはどうでしょう」

私の言葉を無視して、ニーナ令嬢が訴えかけた。


「ニーナ様はお優しい」

「やはり本物の聖女様は心が広い」

そんな声が聞こえてきたが、私からすれば迷惑でしかない。


「本物の聖女であるニーナがこう言っているから仕方がない。ナタリア、お前に選ばせてやろう。国外追放かニーナのもとで働くのか、好きなほうを選べ」


「私はこの国から出ていきます」

私の答えは決まっていた。


「本当に良いのですか、ナタリア様。そんなふうに強がらなくても良いのです。私のもとで一緒に頑張りましょうよ」


「いいえ、私の気持ちは変わりません。すぐに出ていきます」

そう言い残し、私はその場を後にした。


 私の言葉に驚く者もいれば、喜ぶ者もいた。ニーナ令嬢はまだ何かを言っていたけど、もう知らない。何を言われても私の気持ちは変わらない。



 そして私は少ない荷物をまとめてこの国を去り、旅に出る。



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