いざ、ダンジョンの外へ!
新章開幕!
作品名を
「ワタシ」は「迷宮ノ王」になる
↓
ダンジョンモンスターズ ~「ワタシ」は「迷宮ノ王」になる~
に変更しました(内容は特に変わっていません)
今後ともよろしくお願いいたします
「それでは行ってきます」
私とクロマは人間の街に行き、物資を買うべく、外の世界に踏み出すのだ。
「気を付けて!」
「ダンジョンのことは俺たちに任せな!」
「武器をたくさん買ってきてね!」
私とクロマははみんなに見守られながら生まれ故郷であるダンジョンを後にした。
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とりあえず私たちは冒険者が持っていた地図のどこにいるか把握することを目標にした。今は森の中を歩いているのだが、時々木の間を分けて照らす太陽の光がまぶしかった。ダンジョンの中も外と同じように昼間は明るいが、外とダンジョンの中は少し違うように感じた。私はバックを肩にかけ、歩き続ける。
私たちが持っているものは
5500ゴールド(前回の冒険者+その前の冒険者の分)
薬草4つ 防具と武器(軽いもの) 食料と水(5日分ぐらい)
黒いマフラー2つ(装備済み)
である。ちなみに武器はと防具は冒険者の一人が持っていた不思議なバックに入っている。明らかに大きさ的にはいらないものが入るのだから不思議である。どうやら重さも変化しないのだが気持ち的な理由で軽いものだけ持ってきた。
「それにしても私たちのダンジョンってこんな森の中にあったのか…」
「……そうね。こうやってダンジョンの外に出て初めて知ることも今後たくさんあるだろうね」
そのとおりだなと思う。『井の中の蛙大海を知らず』とはまさにこのことだろう。
私たちは丸一日歩き続けてようやく小さな道に出た(こっち側の道が一番近くにあるかどうかは私たちは知らない)それにしても、帰るときに迷わないようにと目印をいくつかつけておいて正解であった。まさかここまでとは思ってもいなかったのだから。
翌朝になり、私たちは小さな道に沿って歩き始める。しばらく歩いていると遠くに民家が見えた。さらに歩くと二つ三つと森の木々の間から現れる。小さな村についたようであった。
「一度このマフラーの効果を試すのと場所が分かるか聞いてみることにするか」
「……そうね。最悪の場合、すぐに逃げるよ」
「分かった」
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村は本当に小さく家は10個ちょっとしかなかった。村の中をしばらく歩きまわっていたが、誰とも会わなかったのでひょっとして廃村? なんて思い始めていたその時、遠くの方で農作業をしているおじいさんを見つけた。よかった。きちんと住人がいるようである。
私たち二人はおじいさんに慎重に近づき声をかける
「……すみません」
しかし、返事はない。もう一度先程よりも大きな声で「すみません!」と言って、ようやくおじいさんが気づいた。
「……ありゃま、いつの間に後ろにいたんだ?それよりこんな村に人が来るなんて珍しい。しかも女二人で。いったい何のようだい?」
おじいさんは農具をその場に置き、タオルで汗を拭きながら尋ねる。
「すみません。私たち旅をしている身なのですが道に迷ってしまって…。地図はあるのですがどこら辺にいるのかもわからなくて」
するとおじいさんはしばらく上を見つめた後で「ああ……」と何かを思い出したようであった。
「おそらく曲がる場所を間違えたのだろうな。昔はよくいたんだよここに間違って来る冒険者や行商人が。最近は立て看板が立ったからそういったやつはすっかりいなくなったんだが、あんたらはそれを見なかったのか。それはそうと、地図を見せてくれ。場所は分かる」
私達は地図を渡す。おじいさんはすぐに町の絵が描かれた場所を指さす。
「ここが迷宮都市のクシャだ。おそらくここに行きたかったのだろう?(地図をなぞりながら)本来ならばここで右に曲がるのが正解だが、あんたらはおそらく一つ手前で曲がってしまって遠回りすることになったんだろう…」
違うけどまあそういうことにしておくか。
とりあえず自分たちがどこにいるか分かったし、おじいさんも私たちをモンスターとして認識してないようで安心した。あっ、忘れないうちにダンジョンの位置にも印をつけとかないと……
「……この道をまっすぐ進めばクシャに一日もあればつくだろう。ただ、最近ここら辺を通る人が少なくなったからかモンスターがよく現れるようになってさ。昨日もゴブリンが三体いたんだよ……」
「うげ。変態じゃん……」
クロマはゴブリンと聞いて明らかに嫌悪感を示す。彼女の頭の中ではゴブリン≒変態の認識なんだろう。まあ間違ってないと思うけど。
「あんたらも気をつけな。まっ、ここまで来れるのなら大丈夫だと思うけど」
「ありがとうございます!」
「いいよこんぐらい。そうそう、出来ればでいいが、ゴブリンと遭遇したらなるべく倒してくれると助かる。あいつら単体じゃ弱いけど数が増えると厄介だからさ」
「……いいよ。全員ぐちゃぐちゃにしてあげる」
クロマは音もなく笑う。でもその目は死んでいる。怖い。怖いよこの子。
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「とりあえず、ダンジョン都市のクシャに行くか?ここから一番近い大きめの街だし」
「……そうね。他に近くにある町はどれも小さそうだったし」
ということで私たちはとりあえずクシャに向かうことにした
ホントはクシャにつくはずだったのに…