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成果を見せてやんよ!(後編)

後編です

前書きに書くことがなくなりました(-_-;)

(ナイスショット!)

ちーちゃんは口には出さなかったが内心ガッツポーズをした。アーチャーモンスターの三人は見事に全員あてたのである。残りは魔法使いのおじさん一人である。勝ったなと思いつつも油断はしない。すぐに風魔法を放ちアーチャーモンスターの方に行かないように足止めをするのである。しかし、風の刃はおじいさんの周りにある不思議な膜によって防がれた。

「……オイ。これほどの罠を仕掛けるとはな。……いったいどれほどの強者がこの階のボスなんだ?どうせ死ぬのだから最後に姿ぐらい見させてくれないか?」

と言うのであった。

……ちーちゃん困った。リイア先生がどこにいるのかわからない。そんな風に悩んでいると、後ろからなじみのある足音が聞こえてきた。


「残念ながら、その子は別の人たちを相手にしているからここにはいないよ」

茂みから現れた少女は出て来るや否やそういった。見た目は普通の少女だが、こんな場所にいる奴が普通なはずがない。実際に少女の黒い左手が危険な存在であることを示している。

「……それじゃあ、あんたは?」

と思ったことを素直に聞くが、目の前の少女は何もしゃべらない。かわりに一匹のコウモリが

「この方はニ階層のボスでございます。一階層もニ階層もそんなに変わらないですし誤差ってことにしといてください」

……こいつが二階層のボス⁉どうなってんだこのダンジョンは⁉

このレベルのモンスターが二階層のボスだなんて最難関ダンジョンクラスではないか! おかしい。いくらなんでも早すぎる。ここ1~2年で創られたダンジョンのはずなのだが……

「もういいですか。私の主は人と話すのが苦手なのでね」


 一時休戦は終わり二人は敵対する。…といっても仁井は隙を見て撤退しようとしていたのだが。クロマの周りには四角形の黒い物体がいくつか現れる。対する仁井は防御呪文をかけ、さらにシールドも張る。相手の攻撃を見てから逃げる方法を考えるつもりなのであった。クロマはそれに気づいていたが、気にせずに黒い物体を放つ。

死神弾(ヘルショット)

クロマは魔法を避けようとしない仁井を見て微笑するのであった。


……勝ったと


 クロマの魔法はシールド程度では防げないほどの恐ろしい貫通性能を有している。避けるか射程外(クロマの魔法の射程は約15メートル)に離れるしかない。

 仁井は身体にいくつもの風穴を開けられ、何が起こったのかわかっていない顔をして倒れるのであった。


 そんな様子を見ていたちーちゃんは

(さすがは我が主!あのような防御を物ともしないなんて!私ももっと精進せねば!)

と一人燃えるのであった。

~~~

「リイア先生……」

冒険者の剣を私が受ける。相手は突然現れた私に困惑しているようである。

「戦いは最後まで気は抜くなと教えたはずだ!」

全くフェニのやつめ…途中までは完璧だったのにな……。……まあ、

「……生徒に丸投げするのも癪だからこいつの相手は私がしよう!」

私は冒険者の女と相対する。相手は私と同じ剣使い。フェニ達には邪魔をしないように言った。完全に1対1の技量勝負。


 相手は大きく踏み込み剣を横に振る。私は避けずにそれを受ける。相手がペースをつかもうと連続攻撃を仕掛けるのでそれも全部受け流す。

第三者から見れば私が防戦一方に見えるが、すぐに形勢は逆転する。

相手のスピードが落ちていく。あんな連続攻撃を続けていたら当然だ。私でも疲れる。相手は「これで決める」言わんばかりに大きく剣を振る。ここで初めて私は横に回避する。おそらく私が避けることを想定していない攻撃であり、相手は隙だらけである。私は一撃で決めるべく左手を槍に変え、心臓を貫くのであった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「大☆勝☆利!」(ちーちゃん)

なんとびっくり怪我人ゼロ。死者ゼロの大金星である。それを聞いたアランは

「お前ら恐ろしいな……」

とあきれていた。そして今は簡単な祝賀会を開いている。もろもろ報告もかねて。先生たち三人はそれぞれの生徒を褒める。みんな作戦通りうまくやったようである。ちーちゃんについて話すクロマは少し楽しそうであった。

「それと戦利品も10人となるとものすごい量ですね」(ヒョウリ)

そう!冒険者がつけていた武器や所持品は一部を除きダンジョンに吸収されない。つまり、私たちが使うこともできる。

今回の主な戦利品

5300ゴールド(お金で1ゴールド10円ぐらい)

薬草15個 強薬草3個 聖水2個 防具全身7人分+α(リイアが殺したのは一部のみ。ヒョウリが凍らせたのとクロマが穴開けたのを除く)武器9人分(ヒョウリが凍らせたのを除く)外の世界の地図


その他使用方法や効果が不明なものが少し。


「過去最高じゃないですか?」(ヒョウリ)

「間違いなく過去最高クラスの報酬だ。相手の数が多いのもそうだが、ほとんどのやつを一撃で倒したのがよかったのだろうな」(アラン)

たしかに、本来であれば使われていたはずの薬草とかも手に入ったからな。

「先生!僕も武器をぶんぶん振り回せるの?」

とリキが聞く。ヒョウリとアランは笑いながら

「残念ながらこいつらは人間用のものだ。俺たち獣や不定形のスライムのための武器じゃないからな。せめて(と言って私を見る)リイアやクロマみたいに人型じゃないと上手に使えないだろうな」

「えー先生たちだけずるい!」

と多分駄々こねている。……かわ

「……そうはいっても私もリイアも武器はいらないんだけどね……。防具はもしかしたら使うかもしれないけど」

「……そうなんだよな。私は武器を使うより体を武器にして戦う方が強いんだよな……。クロマは杖とか使わないのか?」

「邪魔になる(即答)」

さいですか。それだと二人分の防具以外は使わないのか。なーんかもったいないな……。

「とりあえず、使えそうな戦利品以外はどこかに保管しましょうか」


……ということで防具や武器の確認をする。するとその中に

「なんだこれ?」

黒いマフラーのような防具が二つある。試しに一つつけてみる。

「リイア先生!なんか存在感が薄くなっています!」(ちーちゃん)

なるほど視認性を阻害するマフラーか。……ていうか今気づいているのってちーちゃんと……

「……なに遊んでるの?」

クロマだけ?

「アランさん!ヒョウリさん!見えてますか?」

と試しに聞いてみる。すると初めて

「……リイアだよな?なんかすごく存在感が薄いが」

とアランが反応し、ヒョウリも気づく。私はマフラーを外すと元に戻った。これは……

「……これは結構使えるのでは?」

この装備を使えば奇襲とかも楽にできるのでは?と思ったのである。

「多分後衛の人が後ろから襲われたりしないようにつけるやつだった気がする。前にも一度それをつけていた冒険者が入ったことがある」

なるほど。面白い防具だ。ありがたく頂戴しよう。


 さて、残りはだが、薬草たちはそれぞれの階層のボスで山分け。残りの武器と防具と使用用途不明のものははちーちゃんの洞窟に保管してもらうことにしたのだが……

「……これをどうする?」

残ったのは5300ゴールド。ちなみにだが、ダンジョン内に通貨の概念はない。

「今までは多くて300ゴールドとかだったから放置していたがその量となると、そういうわけにもいかなくなるな……」

今回は相対的にかなりの大金である。これを放置するのはもったいない。しばらく悩んでいるとフェニが

「放置するのがもったいないなら使えばいいんじゃねえの?」

と口にした。それはそうなのだが、「どうやって何に使う」これが問題なのである。

「二人が人間の街で使えばいいんじゃない?二人とも人間に似てるからうまいこと侵入したりできないのか?」(フェニ)

「無理だな。知ってるものは知ってると思うが私たちがモンスターだとなぜか人間は判別できる」

「なら、そこにいいアイテムがあるじゃねえか」

フェニは私が持っているマフラーを指さす。……あそっか。

「これつければなんとかなるかもしれないな」

「それならさ。いらない武器や防具も全部売ってさ、代わりに俺たちが使えそうなものを買ってきてくれよ!」

「おお!それはいいアイデアだな!」(アラン)

「フェニ君ぐっちょぶです!」(ヒョウリ)

待て!何勝手に話を進めてる! そしてヒョウリさんは何でそんなの知ってんだ!

「そうは言うけど、私たちが勝手に消えたらまずくないか?」

下手にごまかすと、今の状況だと怪しまれるだろう。

「今回の冒険者たちに負けたことにすればいいじゃないですか。ありがたいことに、な・ぜ・か、継承の儀が行われていないのですから」

「ていうかそもそもダンジョンから出れるんですか?」

「出れる。かつて仲間が外の世界を見てくると言ってここから出て行って帰ってきたことがある」(アラン)

さすがはアラン。そういうことも知っているのか。

「……いいじゃない。外の世界にせっかくだから行ってみようよ」

普段は意見を言わないクロマが乗り気なのか。まあそれなら…



外の世界に出るとするか!

継承の儀についてはなんかそんなのがあるんだな程度で大丈夫です


次回から新章開幕

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