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英雄にでもなったつもりか?

英雄とは?(哲学)

どう考えても戦いが終わらないよ~~

氷転崩壊(アイスブレイク)』を放った右腕は凍り付く。私はもろくなった右腕を強引に引き離し、それを銜えたまま同じように倒れている巨牛(ミノタウロス)から右腕を切り離していく。

そして、三匹目に向かう途中に巨牛と目が合った。すると、先程まではこちらのことを一切気にしていなかったにもかかわらず、血相を変え、雄たけびを上げながらこちらに向かって走ってきた。

(やはりな!)

私は巨牛の攻撃を避け、銜えていた巨牛の右腕二つをグローリアに放り投げる。グローリアはすぐに悟り、私が投げた二つの腕をさいの目切りににした。

私は巨牛と距離を取り、にありと笑って見せる。

「なるほどな、仕組みはまだ完璧に理解できていないが少なくとも一度使った腕は使えんのだな」

もし、巨牛の能力がただの『縫合、接合』なら、わざわざほかの巨牛の腕を引きちぎらずに切られた腕を瞬時に接合すればいい。本来ならそれが一番手っ取り早いはずだ。

だが、やつはそれをしない。――否、できないのだろう。

一度使った腕は何らかの理由で使えない。つまり、ここにあるすべての腕を使ったら再生しなくなるはずだ。

奴は『不死身』ではなく、『命のストックがある』と表現したほうが正しいだろう。

「お前の右腕はもう片手で数えられる数しかないだろ?」

巨牛の数はそこまで多くはいなかった。そして、すでにグローリアとの戦いでかなり消費しているはずだ。

巨牛は自分の右手をまじまじと見た後、突如として、突進攻撃の構えをする。

……見当違いな方向に向かって

(何を考えている?当たるはずがないだろ?)

突進攻撃は直線しかできないはずだ。たとえ方向転換ができるとしても当たらないと思うのだが……。攻撃手段を変えるのは一つの手だが、対処法がばれているなら意味がないと思うのだが。

しかし、冷静な私とは正反対にグローリアは見たことがないほど焦っていた。


私はとあることを見落としていたのである。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



(不味い!)

あの先にはオークたちがいる!

オークたちは自分たちのことで精一杯なのだろうか、誰も危険に気づいている様子はない。それに、気づいたとしても避けれる時間はない。

てか、あっちにはお前の仲間……いや、仲間とは思っていないのだろう。

私はそれを阻止するべく『神ノ試練』を両足に向かって放とうとしたが

「後退してください!」

テンの掛け声と同時に訳も分からず後ろに跳ぶと眼前を別の巨牛が通過する。私は無傷だが

巨牛は走り出した

一直線に、オークたちに向かって


大きな地響きが接近してきていることに気づき、音のなる方に首を向けると黒い靄の放つ大きな巨牛がこちらに向かって突進してくる。

(避け……いや、もう無理だ)

こうなったら……

「全員!大きな衝撃にと備えろ!」

一か八かの賭けだ。生き残れたらラッキーだろう。

巨牛はオークたちを小石を飛ばすように突き飛ばしながら階段へと向かうのであった。


先程邪魔をした巨牛は『神風(シンプウ)』で倒し、横でいつでも追う準備ができていそうなテンに声をかける。

「追うぞ。あいつを野放しにしたら被害が拡大してしまう」

「グローリアさん、申し訳ございません。私のミスで……」

「反省会は後にする」

私はテンの返事も待たずに走り出す。今はその程度の時間も惜しい。もし、あいつが暴走し続けると考えると心臓が止まりそうになる。リイア様の努力の結晶をあのようなものに破壊させてしまうなど守護者として万死に値する失態である。リイア様は私に惜しみなくエネルギーを消費された。期待されているのである。

止めなくてはならない。守らなくてはならない。それが私の使命なのだから。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ところで少し時はさかのぼりとあるシーン。

「ゴブリンと巨牛族(ミノタウロス)の半分と巨人族全部はオーク軍にぶつかれ!本隊はぶつかっている間に迂回して先に進む!一応その後、オーク100体を挟み撃ちの形にするように突撃させろ!」

()()()()()()

それじゃあ残りのもう半分がいるところは……


「フハハハハ!」

アースは目の前で大斧を振り下ろそうとする巨牛に向かい高笑いをする。

「そんな鈍い動作を許すわけがなかろう!落下岩(スクラップトーン)!」

巨牛の頭上に大岩を作り、落下させる。大岩は巨牛の頭に当たり割れるが、肝心の巨牛は全く気にも留めていない様子であった。

「なるほど、我の落下岩を耐えるか!だが、耐えれたところで、我が表皮に傷などつけられるか?」

あいかわらずの余裕の風格を醸し出しているが

(……死ぬな)

先程、威嚇だったのだろうか巨牛の一振りを見て確信した。あれは防げないと。

ならば避けるしかないわけなのだが、アースは巨牛のことを小ばかにできるほど俊敏ではない。……いや、正直どっこいどっこいである。

それ以前に彼には『避ける』という考えがないのだが……


巨牛は一切の手加減もしない様子で斧を振り下ろそうと、天高く上げたその時

熱狂贈呈(フレミング)

何者かが放った炎の弾が巨牛の顔と右手に当たり爆発する。巨牛の体がわずかに揺らぐ。

死神ノ鎌(キルスレイ)!」

その隙を見逃さずにミルが鎌で切り離す。

「いっちょあがり!」

ミルが着地した後に続いてカムイとツチグモが着地する。

「俺たち、いらない?」

カムイは少々あきれ返ったような声で反射的に口にする。

「まあ、結果論だね」

少し遅れてボルカもやってきた。

「それもそうか。……それよりアース」

一転して、真剣な口調で話し始める。

「戦場の鉄則その一、ピンチになったら助けを呼ぶこと」

カムイの注意にアースは不満そうな表情をする。

「……フン、別にあれくらい……」

「英雄気取りか?」

カムイはさらに声を低くする。アースに対する目線も普段の温和な雰囲気とはかけ離れていた。氷のような炎であった。

「お前が持ってるのは『誇り」じゃない『傲り』だ。そこをはき違えるな」

「何を偉そうに……」

アースが無意味な反論をしかけたが、その声は巨牛の雄たけびによってかき消される。アース以外の全員が振り返ると、先程の巨牛が黒い影のようなものに覆われ、そして切断したはずの腕が再生していた。

「まじかよ。また硬いやつじゃねえか」

そして、「専門外だって言ってるだろ」と小声で不満げに呟く。

「何回再生しようが切り落とすだけ!」

ミルは再び鎌を構えて対峙する。

「僕も手伝うよ」

ボルカも炎の弾を創り出す。

「私もできる限り協力します」

ツチグモは剣を鞘から抜き、構える。

「それじゃあ、こいつはみんなで倒すとしますか」

カムイもまた長剣を構え、巨大な影と相対する。

ドーラ「俺が大将だからな?」

カムイ「副将はもう死んでますけどね」

ドーラ「」


黒魔「私の出番マダー?」

キョウ「まだー?」

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