ちーちゃんと変態とヒョウリ様
登場キャラクター紹介
フェニとスライム
フェニは大きさ40センチぐらいの鳥のモンスター。全身オレンジ色で飛んでいるときに時々火の粉が舞う。得意魔法は炎魔法。しゃべりやすいし気が利くいいやつ。
スライムは大きさは50センチぐらいで子供。水色で半透明。俊敏性は高く回避が上手。魔法はまだ使えない。フェニとは仲良し。
次回はアラン
私とフェニ達でその後も色々話していると、クロマとカリンがやってきて
「……ごはん」
と少し不機嫌そうに言うのであった。そういえばだいぶ時間がたっているな…
「すまん、今から作るから少し待っててくれ。それと、その二匹は協力者だから安心しろ」
「……っそ」
やはり少し機嫌が悪そうである。だがその辺の詮索は後回しだ。とりあえず持ってきた荷物で料理をパパっと作る。作ったのは野草と肉の炒め物である。
興味はないかもしれないが、野草も肉もダンジョン内のものである。私たちが生きるために大体必要な分は創り出される。ただし、残念なことに食料が不足したらダンジョン内の獣のモンスターは狩られやすくなる。ダンジョンとはそういうものなのである。
私は作った料理をスライムとフェニの前に置くと
「食べていいのか?」
と不思議そうに尋ねるのである。私が「もちろん」と答えると二匹は目を輝かせながら炒め物を食べる。……かわいい
「……そうだ、ちーちゃんも出ておいで」(クロマ)
クロマの合図で上から、一匹のコウモリのような魔物が下りてきた。大きさは40センチぐらいで大きな耳となぜか大きな目が特徴的だ。小さな羽をぱたぱたと動かしながらゆっくりと高度を下げ、クロマの肩に止まる。その様子を見ていたフェニは食べる手(足?)を止める。
「げぇ!コウモリじゃねえか」
「うげ!ファイヤーバードじゃん」
「あれ?二人とも知り合い?」
「……まあ、そうだな」 「……そうね」
どこか歯切れが悪い。そしてさっきから二人ともにらみ合っていない?
そして、それに気づいたスライムがあたふたしてる。……いい。かわいい
「まあ、今ここであのことは話すべきじゃないね」
「俺もそう思う」
フェニは再び炒め物を食べ始める。ちーちゃんと呼ばれていたコウモリはクロマが箸でつかんだものをキャッキャしながら食べている。…これもかわええ。
クロマといろいろ話したいことがあったけど、……今はいっか。
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私がみんなの食べた皿を片付けていると、フェニとスライムが
「「一生ついていきます!姉貴!」」
と跪く(?)のであった。私が少々困惑しながら「どうした?」と尋ねると、フェニはガッと顔を上げ、
「俺、今まで料理なんて食べたことなくて……こんなにうまいものを食べれるのなら一生ついていきます!それに名前も付けてもらったし」
……そういうことか。てことはスライムも大体同じか?
「鳥ちゃんだけずるい!僕も名前が欲しい!」
とプルプルし多分駄々こねている。かわいい。……よし、いいだろう
「名前か。スライム……液体……。それならリキはどう?」
「リキ⁉やったー!」
とぴょんぴょん跳ねて大はしゃぎする。やばいまじかわいい。
おっとさっきから取り乱しすぎだな。反省しないと。
そこにクロマはいつもの調子で暴走しかけていた私に問いかけた。
「……ところで、そっちの方はどうだったの?正直、二階もあれだから期待はしてないけど」
私は一階の状況を話す。正直、戦力にならないことを。
「……という感じだ。そして、その感じだと二階も大して変わらん感じか?」
クロマに聞くが何も答えずに、少し不機嫌そうな顔をする。
「……その件については私から話します」(ちーちゃん)
そしてちーちゃんによると二階層は一階層と同じスライムとウサギさらにゴブリンがいてファイヤーバードの代わりにコウモリがいるそうなのだが……
「あほなゴブリンで自由意志を持つ奴がゴブリンに命令してクロマ様に襲い掛かったのですよ。ほんとに同じ二階層の仲間として恥ずかしすぎて洞窟にこもりたくなりますよ。まあ、あほなゴブリンどもはクロマ様に殲滅されましたけどね。言いようもない恐ろしい殺し方でしたけど、あほどもに同情する気は全くありません」
Oh……それでクロマが不機嫌なのか。それと殺し方は聞かないことにした。多分えげつないことしたんだろう。想像もしたくない。
「まあ、それなりに優秀な奴でゴブリンたちを上手に指揮していたのですが……」
それは惜しいな。……ってうん?
「モンスターを指揮するって、自由意志を持たない奴らを?」
「そうですよ。私みたいに自由意志を持つモンスターは同じ種族限定で数も多くはありませんが、命令することもできますよ。私の場合は五体が限界ですかね」
……初耳なんですけど。フェニさーん。リキさーん。
「なあ、フェニとリキはできるのか?」
「……? 初耳だ。そんなことできるのか?」
「僕も知らない。ちょっとやってみる!」
リキは「うーんと。えーっと」と言いながら何かをしている。
「できた!でも同時に二体が限界かも」
「俺もできたが同時に三体しかできないな」
そんな簡単にできるもんなんか? とかいろいろ思ったけど、そういえばカリンとコリンもそうかアランの命令に従っていたな。……いや、あれはちょっと違うか?
「最初はそんなものです。あのゴブリンは同時に20体ぐらいに命令出来て、ゴブリンなので色々させることができたと思うのですが…」
「……変態(とボソッと呟く)」
「……そうなんですよね(とため息)」
ため息をつくクロマたちを見ながら、なんとも惜しいモンスターだなぁと私は思うのであった。
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翌朝、朝食を食べに来た二階のメンバーといろいろと話しているとまさかのアランと……ヒョウリ⁉ がやってきて
「ここにいたのか。探したんだぞ」
と言う。ところでそのお連れ様はどうしたのですか?
「ヒョウリが我らに協力してくれることになってなそのことを報告しに来た」
ヒョウリは一歩前に出て、私とクロマを見ながら話し始める。
「自己紹介の前にクロマ様、リイア様。私を助けていただきありがとうございます。もし、私があの盗賊たちと闘っても勝てないでしょう。しかし、そんなあなた方がどうして一,ニ階のボスにされているのか理解に苦しみます。デル様は何もわかっていない。私も直々に申し上げたのですが、あのクソ雑魚ドラゴンが邪魔をして相手にしてもらえませんでした。私はこのダンジョンはもうだめだと思っていたところに今回の話です。喜んで協力させていただきます」
そういって、丁寧にお辞儀する。いかにもヒョウリらしい言動である。
「それでは改めて自己紹介を。私が四階層のボスであり豹(氷)狐属の長であるヒョウリです。得意魔法は氷と自然です」
「なんだかすげえ神々しいな」(フェニ)
「だね」(ちーちゃん)
そう感じるのも当然。私が知る限りではヒョウリよりも美しいモンスターはこのダンジョンにはいない。全身を覆う真っ白な毛。しなやかな足。黄金色に輝く目。彼女が走ると北風が吹くともいわれている。実力も確かなものであり、ルヴァン相手なら相性も良いので私よりフルボッコにできる(ルヴァンからは嫌われている)。
もちろん六階層以降のボスとも十分戦える。またヒョウリもアランほどではないが古参のモンスターであり、このダンジョンについてはかなり知っている。ちなみにボスに選ばれたのは最近になってからである。
「おいおい、まじかよ」
ヒョウリが仲間になったとなると、単純に考えると……
ヒョウリ対ルヴァン 私&アラン対六、七階層のボス クロマ対八階層のボス
となり、ヒョウリとアランは勝てる。クロマもまあ勝てる。私が一番微妙か?
ただ、勝てるといっても消耗はする。その状態でデルと闘うのはきつい。
それとほかのモンスターを無視している。ボス以外のモンスターはおそらくあちらの方が強い。それと秘密部屋のボスも含めていない。そうなると…
「……これでもまだ勝てないな」
「我もそう思う。だが、これで正面から最悪戦えるぐらいの力は手に入れた」
たしかにそれもそうか。もし相手が全面対決を望んでも応えられる。相手もうかつに手を出せないはずである。
まあ、それより先に片付けないといけない問題があるんだけど……
「私にできることがあれば何でもお申し付けください」
ヒョウリは静かに言う。できれば一階でも十分戦えるような戦力が欲しいのだが……そうだ!
「ヒョウリさん!アーチャーモンスターのリョウを呼んでもらえませんか?」
私は侵入者を倒す画期的なアイデアがうかんだ。