最高戦力
お知らせ(詳細は活動報告にて 2024 2月13日記載)
私生活の都合上、しばらくの間投稿が激減します。
ただ、生存報告もかねて週一(どれだけ遅くとも月一)で連載の更新だったり、短編だったりを投稿できるよう頑張るつもりです。
また、変化があったら報告いたします。
申し訳ございません。
「ごぼぉぉ…」
巨人の一人が突然、悲鳴を上げながら地面に倒れた。…来てくれたのか
「氷転崩壊」
「死神ノ鎌」
また一人、二人と倒れていく。…俺たちでは全く歯が立たなかった巨人たちを赤子の手をひねるように倒していく。そして、とうとうあの方の本気もお目にかかれた。
「神風」
相手のモンスターは何が起こったのか理解できてない表情をしている。それもそのはずでその声が聞こえたときにはすでにモンスターの四肢は切られていたのである。
「…すまない。少々遅かったようだな」
長く美しい髪を揺らしながら着地する。まるでモンシロ蝶が花の上に留まるように。グローリアに続いてテンとミル、氷孤たちがやってきた。
「戦局はかなり悪そうだな」
「間違いないね。…でも、もう大丈夫」
ミルは親指を立て、ウインクする。これほどまでに安心できる「大丈夫」を聞いたことがあっただろうか。いや、ない。
何せこの方たちがこちらの最高戦力なのだから。
私は先程倒した敵の強さを踏まえたうえで、改めて敵軍を観察する。巨牛のモンスターは少々強いがそれ以外は氷孤たちで十分相手になる。そして、あいつも私一人で十分だろう。…少し過剰戦力になっているな。
「ミル!」
私の声掛けでウインクをやめて「ハイ!」と返事しこちらを向く。
「ミルは下の階層の援護に先に行ってくれないか?」
おそらく相手の軍の進行速度は予想以上に速い。すでに下の階層でも戦闘が開始されているはずだ。ならば過剰な分は先に下の階層に行ってもらった方がよいだろう。ミルなら無茶とかもしないだろうし。
「了解しました!ついでに後方のオーク軍を半壊させときますね」
ビシッと敬礼するとミルは鎌をもって下の階層に駆けていった。
「それじゃあ、オークたちは戦える奴は後ろの戦線に回れ。戦えないが動けるものは怪我の治療に回れ。ただし、固まらないように注意しろ」
「…それでいいのですか?」
ピグは恐る恐る私に尋ねる。
「あいつらは私らだけで十分だ。むしろその方がやりやすい」
相手はほとんどでかくて鈍いモンスターだけだ。私たちの速度についてこれるはずがない。
「準備はできたか?」
「いつでもどうぞ」
テンは身体をぶるっと震わせ低く構える。他の氷孤たちも共鳴するように低く構える。
「巨牛のボスの相手は私がする。テンたちは残りの巨大なやつらの相手をしてくれ」
忘れていることはなにもないな? それじゃあ…
「突撃!」
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「衝突!」
後ろから切りかかってきた竜人の剣を避け、重たい一撃を顔面に当てる。衝突は武器や拳などにエネルギーを込めることで衝撃を二倍にする技(正式には衝撃を二回起こす技)であり、習得はさほど難しくないにもかかわらず使い勝手の良い万能技である。一応デメリットとして自分が受ける衝撃も二倍になる(当然ちゃ当然だが)が、あってないようなものである。
さて、六階層の戦況はどうなってるかと言うと、一言で表すと「混沌」である。作戦は立てていたが開始二分前後でごみ箱送りになりました。
というのも(俺はそうでもないのだが)フウランとアースは集団相手にめっぽう強い。なので作戦通りに動くよりも、自由にさせたほうが力を十分に発揮できる。バカみたいだが時にはこういうのがいいこともある…はず。
この階層にいるのは俺たち三人とゴーレムが数体だけである。なので戦力的にはこの階層がおそらく一番低くなるがそれでも相手軍200体前後を引き留めている。俺たちの役目はあくまで数を減らすこと。
次の階層につなげるために
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ドーラは目の前にいるおかっぱ頭のお人形のような少女を見つめる。見た目からは考えられないエネルギーを秘めている。五階層や六階層にいたモンスターとは一線を画している。このモンスターが危険なのは当然として。
(周りのモンスターも…)
犬のモンスター、カニのモンスター、亀のモンスター、闘牛モンスター。どれも他の階層の取り巻きと比べて強い。そして数も多い。
(…ということは、この階層が最後なんじゃないか?)
最後の砦だろうとドーラは確信した。これさえ突破すればラスボスと対峙できるはずだ。ドーラは勝ちが近づいていることを実感しつつも冷静であった。落ち着いて状況整理をする。
自身の兵数はおおよそ250体。対する相手はこれで全部なら100体程度。兵数では勝っているが質の面ではこちらがやや劣っているだろう。
(…だが、あの少女を見るに)
おそらく最初の時のあいつは少女よりも強い。なら、オークが数十体いたところで何の足しにもならないだろう。それならば下の階層に向かうのは少数精鋭にし、残りのモンスターで足止めしてもらうのが得策だろう。
(だが、問題は…)
ドーラは改めて少女を注意深く観察する。真っ黒な魔導書を持ち、宙に浮かぶその姿はまさに悪魔のようであった。おそらくあのモンスターの相手をできるのは竜人の強化種ーーその中でも特に優れている自分かロロだけである。しかし、ロロは五階層で交戦中なのだろうかここにはいない。そうなると、自分が相手しないといけなくなるが
(じゃあ、誰がラスボスの相手をするんだよ)
そういうわけにもいかないのである。あいつがラスボスなら楽だったのにと意味のない仮定の想像をしつつ
(どうやって突破しようか)
と悟られぬようにひそかに考えるのであった。
話が進んでなさ杉な気がする…
これじゃああと3話で終われないじゃないですか…