人気に必ず付随してくる厄介事
新キャラはこの章ではこれ以上は増えません(多分)
次回は前から予告していた閑話を挟む予定です
想定外のお客さんがやって生きた次の日からダンジョン内に移住したいモンスターたちがやって来始めた。まず初めにやってきたのはスライムたちであった。ここのスライム族の長はかなり大きく、体長は2メートルは優に超えていた。どうやらスライムの強化種らしく、普通のスライムと同じようになめてかかると大きな体で人間を丸のみにして酸液でどろどろに溶かすらしい。……かわいくねえな。
スライム約20匹は二階層でのんびり暮らすらしい(一応5階に行かないか尋ねたが断られた)
スライムの長にはビルと名付け、2階層で暮らすということなので、ちーちゃんとゴブリン。それとリキを呼んで、そのまま三人に任すことにした。
次にやってきたのは妖精族。前の時も思ったが、妖精族が多分ここらへんで一番強いと思う。知能も高いし、妖精と言うことで魔法も使える。妖精族の長は炎の塊みたいなモンスターで大きさは50センチぐらい。ただし、宙に浮いてるため、目線は下げる必要はない。長は仲間の妖精に目配せし、私達の前に草で作られた籠を置き
「お納めください」
と差し出す。中には前回と同じ果実や
「……これは霊樹の葉ですね。呪いの解除に仕える貴重な葉っぱです」
それとアクセサリーが入っていた。……こんなにいいのか?前回ももらったよ?
「……これはモンスターたちの掟ですのでお気になさらず」(長)
とのことなのでありがたくいただくことにする。妖精族の長の名前はボルカにする。実力は確かではないが多分キョウたちと同じぐらいだろう。ほかの妖精も強く氷孤ぐらいであり、種族全体の戦力だと氷孤たちの次に強いだろう。ボルカ率いる妖精約25体は五階層で暮らすこととなった。五階層のことはグローリアとピグとキョウ(とそれについてくるミル)に任すことにして、私は続いてやってきたオークたちの相手をする。
オークは二つの族がまとまってやってきた。それぞれの族の長はボルカたちと同じく物品を差し出す。物品の内容はおそらく冒険者から手に入れたものの詰め合わせみたいな感じでゴールドや聖水、杖など色々であった(多分、彼らからすれば『使えないゴミ』なのだろう)あっても困らないものなのでありがたく受け取り、二人を含めたオークおよそ40体も五階層に案内する。
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五階層への階段を下りる途中、ミルがやってきて
「あっ、リイアさん。ちょうどよかったです。ついてきてもらえませんか?」
私たちはミルの後ろについて行くと、そこにはグローリアたちと妖精たちが何かを話していたようだった。
「リイアさん、少し話したいことがありまして……」
どうやら妖精たちが五階層の一区画を妖精たちが住む場所を森にさせてくれないかお願いされたようである。そもそも妖精たちは私達と違って自然の中で暮らすことを好む。
「なるほど。……別にいいんじゃない?」
「俺もそう思います」(カムイ)
「結果的に湖やら洞穴やら造られても文句は言わないつもりだったし」
「しかし、それだと……」(ミル)
ミルは隣り合う種族が対立したりしないかを心配しているようである。
「ダンジョン内部のモンスター同士なら対立は滅多に起こらないと思いますが、外部のモンスター同士になると話は変わります。特に今回はもともとは睨み合っていたモンスターたちが一緒に住むことになるのですから……」
ミルの言うことも一理ある。でも大丈夫だ。なぜなら
「大丈夫だ。ここにはグローリアがいるからな」
私がグローリアの方を一瞥すると、『任せてください』と頷く。
「……それにだ。ダンジョンに住むってことは多種族と関わらないといけないことぐらい理解しているはずだ。それを踏まえてうえで、彼らはここに来た。そうだろ?」
私が途中から会話を聞いていたはずのボルカに聞く。ボルカははっきりとした口調で
「もちろんですよ。今までの因縁は断ち切ります。今、ここで、誓います」
それに続きオークたちも
「我らも今までのことはすべて水に流し、良い関係を築きたいと思う」
オークたちの言葉を聞き、ボルカは手を差し出す。オークもそれに応え、手を差し出す。二種族の間で、新たな関係が築かれる瞬間
……のはずだったのだが
「あっつ!」
オークの男は手を握る直前に慌てて引っ込める。ボルカはそれを見て
「あっ……ごめん。俺、握手できないんだった」
本当に申し訳なさそうに謝る。
「……締まらないなぁ」(ミル)
「……ですね」(カムイ)
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オークの二人の長はパクとポクと名付けて、彼らも五階層の一区画に住むことになった。
そして残りの鬼人族は次の日にやってきた
とんでもない情報をもってやってきた。
鬼人族も二つまとめてやってきた。そしてどうやら事前に二つの族は合体し、新たな長を決めていたようであった。そしてどうやら、すぐに報告したいことがあるようである。鬼人族の長は跪いて
「申し上げます。どうやら、我が主人を危険視するモンスターたちが同盟を結び、このダンジョンに攻めてくるつもりのようです」
新たな鬼人族の長は髪は白と黒が半々。目は大きめで紫色。見た目の年齢はカムイと同じくらい。身長はさほど高くないがスタイルはよく見える。そして、鬼人の特有の角が生えていた。それはそうと
「……また、竜人どもか?」
「竜人ですが、今回は後ろにこの地域で最も勢力がある竜人の強化種たちがいるようです」
……まあ、そうなるか
いつかはこうなるとは思っていたが早いな。
私が特に驚いていないことを不思議に思ったのか
「……もしかして、すでに存じ上げておられたのでしょうか?」
鬼人族の長は心配そうに尋ねる。
「いや、知らなかった。でも、いつかはこうなると思ってた」
それと私は疑問に思ったことを尋ねる
「……なぜ、君たちはそっちにつかなかった。……あと、敬語はいらん」
鬼人族の長はその質問に笑いながら答える。
「そんなのこっちの方が強いからに決まってるじゃないですか」
長は携えていた剣を抜き、立ち上がって
「もちろん我ら一同も共に戦うことをここに誓います!」
その声に合わせてほかの鬼人もそれぞれの武器を天高く上げる。その光景は圧巻であった。私は長に手を差し出す。長は剣を静かに鞘に収め、その手を強く握る。
「よろしく頼む」
私の言葉に鬼人たちは一斉に騒ぎ出す。
「こっちは無事、様になりましたね」(ミル)
「本来はこうあるべきなんだよ」(カムイ)
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五階層ではオークたちがあらかじめ切っておいた木を使って家を建て始めていた。少し時間をもらいグローリアたちを呼んで、自己紹介をする。鬼人族はすでに名前があるようなので名付けはしていない。
「私の名前はツチグモです。以後お見知りおきを」
ツチグモは自己紹介の後に、出すタイミングを失っていたらしい貢物を差し出す。中身はオークたちと似ているが質も量はこちらの方が上であった。私たちが中身を見ていると
「鎌じゃん!」(ミル)
ミルが嬉しそうに貢物の山から取り出す。
「リイアさん。これ、私にもらえないですか?」
別にいいけど、何に使うのか聞いたら
「見ててください」
ミルは両手で鎌を強く握り、ゆっくりと目を閉じる。しばらくすると、ミルが握っている部分から、色がくすみ始めて、やがて鎌はほぼ黒色の灰色になった。
「……やはり天魔ですか」
ツチグモはその様子を見て納得したように頷く。……どゆこと?
「天魔は自分のもつ膨大なエネルギーの一部を武器に流し込んで戦うのです。そして、エネルギーの与えられた武器はその天魔にあった唯一無二の武器に変わります。その武器はいずれも最高峰のものだそうです」
「……これで本気で戦える……」(ミル)
不穏な言葉が聞こえたが私は聞こえなかったことにした
ダンジョン外からやってきたモンスター一覧
ミル(天魔)
ボルカ(精霊族の長で炎の精霊)
パク、ポク(オーク族の長)
ツチグモ(鬼人族の長)