カムイは有能…?
カムイ君は報連相ができる有能
六階の二人(二匹?)はそれぞれフウラン(天狗)とウォルにした。しかも二匹に気を取られすぎて気づかなかったけど魚のモンスターと亀のモンスターが増えてた。亀のモンスターは一匹一匹がそれなりに強かった。多分ちーちゃんぐらい。そして次は五階なんだが……
「……ドラゴンか」
「どうかされたのですか?」
スーカは乗り気じゃないことに疑問を持ったようで、茶色い羽毛で覆われた首を傾ける。
「……あんまり会いたくないんだよな」
もともとは『一つの意味』でだけど今は『二つの意味』で会いたくない
一つはかつてはルヴァンであったこと。もう一つは
「龍か……」
先程のウォルを見てしまったからである。
しかし、こんなところでぐずぐずしている時間はない。私は覚悟を決めて五階に上がる。
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「我は地龍であり、この階の守護者である!」
でっかいトカゲじゃねえ。しっかり強くなっていやがる。体長四メートルぐらい茶色で砂っぽい鱗。太く凶悪そうな爪と牙。体はどこも太く簡単には切れないだろう。
「……十分ダメですよね」(テン)
「当たり前」(リイア)
「我のいったい何がだめなのでしょうか⁉」
自分のことを怒られてると思ったのかあわあわと震えだした。あー違う違う、そういう意味で言ったんじゃないよ……
私が事の一部始終を話し終えると、
「……おそらくですがダメの基準をもう少し厳しくした方がいいでしょう。…ただ、六階のあの方は本当にダメだ。何であの方が六階にいるのか理解に苦しむ」
たしかにそうなんだよね。でも、仮に移動させるにしても『どこにどうやって?』って話になるからな……
そんなこんなで五階を後にしようとしたとき、「我もお供致します!」と久々に聞いた。うれしいけど遠慮しておいた。あいもかわらず私は人気者のようで簡単には引き下がらなかった。なので「お供したいならウォルと戦えるレベルになってから言え」と言っておいた。……理由は適当である。
ちなみにに名前はアースである。まんますぎる気もするが気にするな。
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四階層は前とはとんど変わっていなかった。まあ、ここには氷孤たちがいるからね。これ以上の戦力はいらないと判断したのだろう。
「四階はテンの管轄でいいか?」
「リイア様がよろしいのであれば!」
とのことだったのでそのまま三階へ。
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三階もそれほど変わってなかったのだが……
「……なんか全員強くなってない?」
ここで暮らしていたモンスターはここまで強くなかったと思うんだけど。
「そうですね。全体的に強くなってます。革命後も特にコリンとカリン中心に訓練に励んでいましたから」
私が寝ている間にみんな強くなっていたようだ。私と違ってまじめだな。感心感心。ちなみにカリンとコリンはいなかった。なので三階も後にして二階に向かう。
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二階に行くと
「リイア先生!」
元気よくちーちゃんが飛んでくる。うれしいけどさちーちゃんや。私の顔面から離れておくれ。前が見えん。
「ちーちゃん。みんなを呼んでくれない?」
「喜んで!」
ちーちゃんは勢いよく飛び立つ。……出会ったころとは比べ物にならないほど速くなっていた。まあ、ちーちゃんに関しては進化もしてるから当然か。
しばらくすると
「「リイア先生!!」」(フェニ、リキ)
フェニとリキがやってきた。二人とも私に飛びつく(デジャブ)……リキはいいけどフェニはちょっと熱いし顔面! 私はフェニとリキを半ば強引に引きはがしながら
「久しぶり」
と一週間ぶりの再会を楽しむ。「そういえば……」と思いフェニとリキに5~9階層がどうなってるか知ってるの? と聞いたら
「もちろん。なんせあいつら突然現れたから侵入者かと勘違いしてしまってさ」
そしてフェニは知れっととんでもないことを言う。フウランに対して「火炎吐息」を放ったそうである。……もちろん結果は明白で
「あいつ風を操るせいでうまく飛べなくされて一瞬で捕まっちまった」
と悔しそうに言った。……本当によかったね。殺されなくて。
そんなことを話しているとライヤ、リン、カムイもやってきた。
「リンとカムイは大丈夫なのか?」と聞くと、それに答える前に二人は私の前で頭を下げ
「「申し訳ございません」」
と謝るのであった。なぜ謝るのか尋ねると自分たちは戦力として自身があると言って買ってもらったにもかかわらず大事な時に役に立てなかったことを詫びているそうである。
全然そんなことないのに。
「二人がいなければこの戦いは勝てなかった。そして私たちは勝ったんだ。それれいいじゃん」
そして私は続ける。
「二人はもう自由にしていいよ。もし、何かがあればここに戻ってきたらいい」
私がそう提案するとカムイはすぐに頭を上げ、
「……自由にしていいなら。俺がここで暮らしてもいいのですか?」
別にいいけどそんなに待遇は変わんないかもよ。とりあえず寝床は洞窟じゃなくなるけど……。そんな感じのことを言うとカムイは笑いながら
「リイア様。俺たち奴隷は天秤に賭けるものがほとんどないのですよ。自由と命ぐらいです。俺たちが魅力に感じるレベルは低いのですよ。俺はここにいたい。料理も食べれるし自分が強くなれる環境もある。それに面白そうだから」
「私も同じです。私に関してはまだ恩を返しきれていないのです。恩を返しきらない限りは私はここにいます。……まあ返した後もここにいると面白いことが起きると私の本能が言ってますのでここにいるつもりですが……」
そんなわけで二人はダンジョンに残ることになった。残ってくれるなら私としては素直にうれしい。……料理に目をつぶればだけど
……さて、一仕事終えたし休憩したり、個人的にやりたいこともあるが、やらなきゃならないことだらけである。私はとりあえず各階層の代表たちと古参勢を六階に集め(ウォルのため)急遽会議を開く。理由は私がここ一週間で何が起こったのか把握することと今後の展望についてだ。とりあえず全員の自己紹介を済ませると
「……それじゃあ俺から報告する」
とカムイが言う。
カムイは有能だった。
まず、革命の被害の把握及び、今回のダンジョンの変化について全て調べていたらしい。何階にどんなモンスターがどの程度いるかある程度リストにまとめているそうである。さらに余裕があったのでダンジョン周辺の地域の調査もしたらしい。まじでありがたい。
「色々調査をしただけで何かを決定したりはしていません。…それで、いくつか判断してもらいたいものがあるのですが……」
どうやらゴブリンが私たちの傘下に加わったのを聞いていくつかの種族が同じく傘下に加わりたいとのこと。
「それと、今回の私たちの調査に不満を持ったモンスターの一部が攻めてきましたが全員ダンジョンの餌になってもらいました」
「……うん?」
「どうやら私たち調査した範囲の一部にここらでは有力なモンスターの縄張りが含まれていたようで、襲撃されましたが各階層のボスレベルのモンスターを総動員して被害ゼロで返り討ちにしました」
……ちなみに何のモンスターが来たんだ?
「竜人とその傘下に加わっていたと思われるモンスター総勢50体ぐらいです」
……私が寝てる間にとんでもないことになってたんだな。呑気に寝てた過去の自分をぶん殴りたい。
「……でここからが本題です。そのことが広まった結果、もともとはどこかの傘下に加わらないと生きていけないような弱い集団だけだったのですが、有力なモンスターの一部も傘下に加わりたいと言ってとんでもないことになってます」
そしてカムイは希望している種族を淡々と読み上げ始める。スライム族、ゴブリン族…………鬼人族、精霊族、竜人族。
「……今のところはこれで全部です。いかがいたしますか?」
私はこの時どんな顔をしてたのだろうか。カムイの優秀さに感心すると同時に現実を受け止めきれない複雑な心情であっただろう。周りのみんなも途中で異常に気づいた様子で口をあんぐりと開けて固まっていた。
「……いや、『いかがいたしましょう』と聞かれても……」
そもそも相手がどんなのか把握できてないから決められないと伝えると
「……それじゃあ、一度会って決めますか?各種族の代表たちに連絡しましょうか?」
「……おっ!俺の出番か?」
とフェニが元気にカムイに聞いた。……まだなにかしてそうだな。
とりあえずフェニにお願いして各種族の代表はこれたらでいいので来てもらうことにした。私はカムイと八階層に向かいながら
「私が寝ていた間、ありがとな。カムイ。なにか褒美でもあげないとな……」
「これぐらいのことで大袈裟ですよ。それよりも……」
カムイは真剣なトーンで私に問いかける。今一番優先度が高い問題……
ヒマリを回復させるにはどうするべきかと。
ダンジョン新キャラまとめ
新9階層 ランド(キマイラ) スーカ(グリフォン)
8階層 キョウ(九尾の狐) ピグ(オーク)
7階層 カール(闘牛モンスター)
6階層 フウラン(天狗) ウォル(ネッシー)
5階層 アース(地龍)