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8階攻略戦 Ⅰ

決戦開始!

 五階のルヴァンは呑気に寝ていた。その報告がされるまでは。

「ルヴァン様、大変です!下位のボスどもが反乱を起こしました!現在この階層を侵略中です!」

五階にいるモンスターの中で唯一自由意志を持つゴーレムモンスターはどんどんと巨体を必死に動かしながらそういった。

「無駄なことをするんだな。お前たちが相手してやれ」

俺様は眠いのだと付け足してそう伝える。

「いえ、それがとてつもない規模なんですよ!おそらくですが1~4階層のほぼすべてのモンスターが加わっています」

「はぁ?」

……おいまてそれってつまり

「もうこの階層まで来てるじゃねえか!」

「私、さっきそう言いましたよね!」

ルヴァンはもうすっかり目が覚めた。そしてそれとほぼ同時に聞こえるはずのないと彼が思い込んでいた声がした。

「やあ、ルヴァン。こんな夜中にすみませんね」

……その声は⁉ ……いや、ありえない。あいつらは死んだはずだ!

声のした方を見て、ルヴァンは動揺を隠しきれなかった。

なぜ生きていると。

 こいつは先の冒険者によって殺されたと聞いた。デル様はゴブリンに命令して調査させたが報告はなかった。

それとも一度殺されたのがまた創られたのだろうか? いや、それはありえない。

「こいつらは私たちが相手しますので、次の階層に行ってください」

あいつらは俺をほとんど無視して次の階層に進もうとしていた。ふざけるな! 俺様は最強のドラゴンなんだぞ! 相手は氷孤? しかしヒョウリではない。

「なめるな!灼熱吐息(バーニングブレス)!」

 火炎吐息(ファイヤーブレス)の完全上位互換技でありあっちは殺傷能力はほとんどないが灼熱吐息(バーニングブレス)はまともな装備をしていない冒険者であれば全身大火傷はほぼほぼ確定の強力な範囲攻撃技である。

 とりあえず無視しようとするモンスターにめがけてはなったのだが……

銀色世界(ブリザード)!」

一匹の氷孤が相殺するのであった。その間に他のモンスターは六階に行った

「あなたの相手は私達だといったはずだ!」

「……フハハハハハ!貴様、正気か?ボスでもない普通のモンスターが五階のボスである儂に勝てるとでも思っているのか?相性が有利だからか?笑止!その程度の差でどうにかできるはずがないだろう!灼熱吐息!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「本当にあいつらだけで大丈夫か?」

とライヤは心配そうに私に尋ねる。

「大丈夫だ。あいつはヒョウリ並みに強いからな。ルヴァン程度、どうとでもなる」

正直、私はテンをさほど心配していない。あそこは勝利する予定なのだから。

 しかし、階層の中央に大きな池がありそれを囲むように林や平原がある六階層は少し問題がある。相手が分からないし見つけにくいのである。

そのため、五階や次の七階と違いあらかじめ対策を立てることができない。完全に臨機応変である。六階についてしばらく捜索していると体調二メートル級のカニのモンスターが現れた。

「気をつけろ!あいつの甲羅は固い!それにあいつの爪に挟まれたら命はないと思え!」

 カニのモンスターは私を捕まえようとしたが私は軽く避ける。カニのモンスターが私に夢中になっている間にクロマが『死神弾(ヘルショット)』を放つ。死神弾はカニのモンスターの甲羅を物ともせずに貫通する。カニのモンスターが柔らかいのではない、死神弾がおかしいだけである。

「この階層で一番強いのはカニのモンスター。おそらくここのボスはこいつらのボス」(クロマ)

まじかよ、面倒くさすぎる。こいつらを一番安全に倒すなら今みたいな戦術が一番である。

 しかし、この戦術でカニのモンスター一匹一匹を倒していたら終わるのがいつになるかも分からないしクロマの負担が大きすぎる。どうしようかと悩んでいると

「この階層は俺に任せてくれないか?」(カムイ)

「一人でこの階層の相手をするっていうの⁉」

するとカムイは笑いながら答える。

「さすがに俺一人じゃ無理だ。ちーちゃんとモグラのモンスターが欲しい」

カムイは何やら策があるようであった。カムイとちーちゃんたちだけだと少なすぎる気もしたが、カムイが大丈夫と言うので信じて進むことにした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 七階層は大草原である。ここにはゴブリンとカラスのモンスターと

「来たぞ!みんな左右に分かれて避けろ!」

闘牛モンスターがいる。闘牛モンスターの突進攻撃を避ける。

止まったところを素早くコリンとカリンが背中にかみつく。暴れて振り払おうとするがカリンとコリンは離さない。しばらくすると動きが鈍くなってきたので二人は肉を引き裂く。相変わらず見事な狩猟である。

 この階層で厄介なのは闘牛モンスターなのだがカリンやコリンが相性がよい(というかしょっちゅう闘牛モンスターを狩っている)のでこの階層は犬のモンスターと次に厄介なカラス対策にお化けの木のモンスターと魔法使いモンスターを配置してそのまま次の階層に進む。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 そして私たちは八階層についたのだが

「まじかよ……」

眼前には幾重にも張り巡らされた柵、その周りを囲うようにオークたちが配置されていた。その数おおよそ数百体。オークたちは私たちに気づいたようで警戒し始めている。

「いったん引き返しますか?」

それが無難な手であっるのは確かである。

「……いや、このまま私とクロマとライヤは九階層に向かう」

「正気か⁉」

ライヤは反対のようである。というかクロマ以外は反対のようである。

「いいか、聞いてくれ」

たしかにこの状況でオーク軍の相手をするのは不利である。おそらくデルの入れ知恵だろう。相変わらずとんでもない策を講じやがる。こんな大規模な作戦を考えてそれを実行できるのは褒めるべきだろう。

「……時間はない。要件だけにして」(クロマ)

「……そうだな。簡単にまとめるとあいつらを命令してるのはデルじゃない。自由意志を持ったオークだ。たしかにこの状況は相手が限りなく有利だろう。だが、どんな有利だろうと使わないと意味がない。当然だな。それじゃあ自由意志を持ったオークはデルが想定しているのと同じ最善手をうち続けられるか?無理だな。どんな状況であっても一手間違えたら盤面はひっくり返る」

「それじゃあ、お前はこの盤面をひっくり返せるのか?」

ええ、できるからそういっているのですよ。

「私は戦略についてはデルにも負けませんよ」

 そんなことを言ったいるうちにオークたちがぞろぞろと柵の間を抜けて、私達を囲むようにして対峙する。オークは一匹でも十分に強い。動きがやや鈍いが耐久力と単純な力はとても高い。おまけに一部のオークは武器だけでなく防具までつけている。仮に普通に正面衝突をしたとしてもこちらが負けるだろう。

……そう、普通に正面から戦ったらである。

「ーー作戦は以上だ!私がいなくなった後は軍の指揮はリンに任せる」

「私ですか⁉」

「指揮できそうなのがリンしかいないんだ!それともヒマリに任すのか?」

リンはヒマリの方をチラッと見る。それに気づいたヒマリは絶対に嫌だとぶんぶん首を横に振る。しばらくしてリンは覚悟を決めたのか

「……できる限り頑張ります。失敗しても文句を言わないでくださいよ。無茶ぶりをするリイアさんが悪いんですから……」

リンはしぶしぶ承認した。



「完全に止まっているな」

男はその様子を見てほくそ笑むのであった。陣形も説明された通りの形にした。柵の前に出て戦う第一部隊。柵の周りで待機する第二部隊。そしてさらに柵を囲うように待機する第三部隊。万が一相手が一点突破を狙う場合は第二、第三部隊を集中させ、阻止することができる完璧な作戦であった。

男が勝ちを確信し、のんびりしていると部下の一人が報告に来た。

「オール様、相手に動きがありました!どうやら抗戦する気のようです」

「……そうか。それなら第一部隊に突撃の命令を出せ!動き出す前にたたくのだ!」

「了解!」

それだけ命令するとといいオークの男は走り去っていった。

……愚かだな。降伏すればいいものを。もし自分に降伏したらデルにも話して悪いようにはしないつもりだったが……

「まあいいか。また、創り出されるし」

と男は一人割り切るのであった。


「オーク軍!突撃せよ!」

男の声と同時にオークたちは一斉に動き出した。

「いいか!作戦通り戦えよ!正面から戦っても泥沼だからな!」

「全軍、突撃せよ!」

私の掛け声と同時にこちらも動き出す。



こうして最も激しい戦いとなった8階攻略戦は始まるのであった。

次回後編…?

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