これもきっと何かの縁
登場キャラクター紹介
ライヤ
変わった武器しか売ってない武器屋モタの店長で雷獣のモンスターと人間のハーフだが、人間の血を強く受け継いだためほぼ人間。
一度決めたことは貫き通すいい意味で言ったら我慢強い努力家。悪い意味で言ったら頑固者。
姉がいる。弟子のクラモとは森で偶然出会い、保護した。
私はある程度事情を話す。モンスターたちは黙って私の話を聞いていた。
「……というわけで私はモンスターを探しているわけだ。私の希望としてはそれなりに戦えて自分から協力してくれるモンスターが欲しい。だから嫌ならはっきり嫌と言ってくれ。その方が助かる」
私はモンスターたちの質問に答えつつ意思を聞く。どのモンスターも比較的協力的なのだが、どこか『しかたなく』の印象を受けた。それにここにいるモンスターは強いのだが、協調性などが微妙にかけている印象を受けた。
私はある程度候補を絞り、次の部屋に行く。次の部屋では先程の出来事が聞こえていたからかスムーズに話が進んだ。私が話を終えると「なあ」と鎖につながれ動けない様子の少年が声をかける。
「俺を買ってくれよ。戦闘はここに来る前はそれなりにやってたから感覚を取り戻したらある程度の戦力になれるはずだ。……どうだ?」
おっ、ここにきていい感じのモンスターがいるじゃん。
「名前は?」
「名前はカムイ。俺は正確に言えばモンスターじゃなくて亜人なんだが、まあほぼモンスターだな。剣の腕はそれなりに自信はある。最低限度の魔法も使える。それと俺はこの中だと安い。何でかは知らん」
受け答えも特に問題なし。いいじゃん。この子にしよ。
「自分がいくらかわかる?」
「6100ゴールドだったはず」
比較的安めでも結構高いな。まあ、そこは少し交渉するか。(ガスロ)『あんたすげえ度胸だな』
「なら、私たちについてくるか?」
「あんたがいいなら俺はついていく。こんな地下牢獄でごみのように扱われるのはこりごりだ」
よし、じゃあ君に決定!
……さて、一人決まってこの感じだとあと1~2人買えるが……
「私も連れてってよ」
声のした方を見ると人型だが、頭に猫のような耳がついている……おそらく猫又のモンスターがいた。雰囲気はほんの少しクロマに似ている気がする。クロマよりもだいぶ大人っぽいけど。
「名前は?」
「リン。私は猫又。剣と魔法は無理。でも武術はできる。あとは猫に化けられる。今はできないしだから何だって話だけど……。値段はちょっと高い方かも」
この子も特に問題はなさそう。それに武術ができるモンスターがいないからありがたいかも。
「いくら?」
「7700ゴールド」
たしかに高い……。カムイと何が違うのだろうか? この子も欲しいな。まあ、うまいこと交渉するか。(ガスロ)『いったいどっからその勇気がでてくるんだ…』
さて二人決まってあと一人買うかどうかなのだが、この二人と比べるとほかのモンスターは少し自主性が少ないように感じた。悪くはないけどまだもう一か所残っているので二人だけにした。
「先に購入の話をしてくる」
とだけ伝え、私は階段を上がっていった
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「すみません」
男は「なんだ?もう終わったのか?」とだるそうに聞く
「いえ、購入の話をしたいのです」
「そーいやそんな話もしてたな。どいつを買いたい?案内しろ」
私はカムイを指さす。
「このモンスターをください」
「ああ、そいつかそいつは6000ゴールドだ。ただ、そいつはここにきて1年近くたってるから役に立つかは分からんけどいいか?」
「大丈夫です」
「それなら6000ご……『もう一人買います』」
私はすかさずリンを指さす。
「そいつは7700ゴールドで結構高いが大丈夫か?」
「大丈夫です」
「それなら合計で13700ゴールドだ」
さて、ここからが勝負だな。
「すみません、少し割り引いてもらえませんか?」
「……ハア⁉」(ガスロ)『やめといたほうがいいって!』
男は開いた口が塞がらない様子であった。動揺している。頭が回っていない。
この隙を見逃すほど私は甘くない。
私は戦闘での駆け引きを駆使し、畳みかける。
「二人買うので一割引とかないんですか?」
すると目の前の男は突然吹き出すように笑った。
「おもしれえ!まさかこんなところで交渉されるなんて俺も初めてで聞き間違いかと思っちまった。すげえ度胸だな!いいぜ一割引きと端数切捨てで12300ゴールドだ」
「端数なら12000ゴールド!」(ガスロ)『嘘!まだやるの⁉』
「……たしかにな。ならそれでいいぜ」
こうして私は12000ゴールドを支払らってカムイとリンが仲間になった。
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表向きの要件も終えて私たちは防具屋…モンスター販売所を出る。
途端に緊張の糸が切れたのか、ライヤと私は同時に大きく息を吐きだした。
「とりあえず二人は一度武器屋モタでクロマと待っといてもらいますか」
「そうだな。先に帰って体を洗って服も着替えといてもらうとするか」
「……あの、一ついいですか」
とリンが遠慮がちに聞く。
「どうかした?」
「いいんですか?私たちの鎖を外して。逃げられますよ?」
と自分たちの手を見せる。
ああ、そのことか。それなら大丈夫だ。
「二人は逃げない。私はそう思う。……それにそもそも今の二人は私たちから逃げられる力はないから大丈夫。だから逃げてもいいよ。全力で追いかけてあげるから」
するとカムイは「……っふ」と笑う。
「やっぱりあなた方についていって正解だった」
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「クロマ!仲間が増えたよ!あっ、あの子がクロマ。私と同じダンジョン生まれ。基本的に初対面だと無口だから無視されても気にしないでね」
「クラモ!この子たちをお風呂に連れて行ってくれ。それと服も着れそうなものを用意してやれ。俺たちはそのまま二つ目のところに行く」
「それじゃあ二人はあのモンスターと待っててね」
そして私とライヤは二軒目を尋ねに行くのであった。
残り 7300ゴールド
次回 後編