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ダンジョンの中より

後記 文章を修正しました4月4日(~革命編最終話)


次回からはここに登場キャラクター紹介を書く予定です


弱者の運命は残酷だ。それは生物、世界を問わず確定した事実である。


「弱者」は「強者」がいる限り必ず存在する。光があれば影があるように自明である。


誰もが自分が「強者」であることを望む。前述したことを踏まえれば当然といえよう。




これらの法則はどれほど小さくとも集団が形成されれば適用される。




それは異世界の小さな迷宮(ダンジョン)でも同じであった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「ワタシ」は目覚める。何の前触れもなく、突然作り出された。


親はいない。ただし、「創造者(マスター)」を親というのならば、親は迷宮(ダンジョン)である。


生まれて1分もたたないうちに「ワタシ」はこの世界の常識を知る。そして生まれた使命を知る。


本来、「創造者」によって創られたものは自由意志(自我)をほとんど持たない。「創造者」を守る、成長させるといった使命を果たす。それだけのために創り出された存在だから。


しかし、「ワタシ」はやがてある野望を持つ。


『「ワタシ」は「迷宮ノ王」となる』と




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「リイア。何ぼーっとしてるのさ」

その声で我に返る。また、長考をしていたようである。突然意識が戻った影響か状況を思い出せない様子でいると、目の前の者は「またか」と呟く。そして、「私がいなければ、一生現実世界に戻ってこないでしょ」とやや呆れたような口調言った。

 目の前の者……思い出した「黒魔(クロマ)」と呼ばれる少女は顎を真っ黒に染まっている左手に乗せ、自分を見る。ああ、思い出してきた。確か自分はクロマと共に昼食を食べていたのである。机を見ると自分の皿には料理がまだ残っている。一方でクロマの皿はきれいになっていた。クロマと目が合う。その目は瑠璃色に光っている。


 クロマは少々異質な存在である。このダンジョンでは初の精霊に似た存在であり、他と比べ自由意志を強く持っている。姿も人間そっくりでおかっぱ頭の普通の少女だが、その左手は異様な雰囲気を醸し出している。


 私はクロマを待たせていることを申し訳なく感じ、のころを慌てて口に入れたが

「硬い……」

モンスターの肉が恐ろしく硬い。飲み込めない。

「料理して二時間も立ってるんだからそりゃそうでしょ」

クロマが呆れ返る。ああ、そうなのか……って

「二時間?」

「うん」

「really?」

「(無言でうなづく)」

「遅刻じゃん!てか何でそんな長い時間放置してるのさ⁉」

慌てふためく私にクロマはジト目で

「……だってあなたの事情は知らないもの」

と八つ当たりに近い攻撃(ぼうろん)は至極まっとうな反撃(せいろん)によってかき消された。


 私はクロマに何も言わずに秘密部屋から出る。

 私とクロマはダンジョンで暮らしている。ただし、「ダンジョン内部にある都市に住んでいる」というわけではない。ダンジョンによって創られた森の中に住んでいる。それと私もクロマもダンジョンによって創り出されたモンスターである。つまり私も人間ではない。



 話を進める前にこの世界のダンジョンについて軽く説明しよう。

『ダンジョンはまず、ダンジョンの種と呼ばれるものがその中に蓄えられた力を用いて小さなダンジョン(階層的には三階層ぐらい)を形成し、残った力でダンジョンを守る罠や魔物と餌となる忌まわしき宝箱(ダンジョンモンスター目線)などを生み出す。

 次にダンジョンは大きくなろうとする。そのためには力が必要となる。しかし、ダンジョン内部は外界からの干渉がなければ力の量は一定であり、また力を自ら生成することはできない。ゆえにどうするか。外界から力を摂取すればよい。外界からの魔物や人間をダンジョン内部で殺すことでその分の力を得る。(人間や魔物を殺すために使った力も()()()()()()()()()またダンジョンに吸収される。)

 最後に摂取した力を使い新たな餌や魔物などを再び作る。これを繰り返すことでダンジョンは巨大化する。

 ただし、ダンジョンが攻略される(ダンジョンのボス)が倒されるとダンジョンは崩壊する。それはすなわち『死』を意味する。』

 そしてこのダンジョンは中に森や平原を創り出すいわゆる『フィールド型ダンジョン』である。階層は全部で九階層。


 私は自分の隠れ家(仕事場)がある六階から待ち合わせ場所の四階に向けて走る。四階に行くと友人でモンスターのケンとミーアがいた。二人ともすでに来てからだいぶ経過しているようで

「遅いですよリイア先輩」

とケンは集合するやいなや私の頭をごつごつした鎧で小突く。軽いノリのつもりなんだろうけど普通に痛い。

「まったく。先輩は()()六階の秘密部屋の番人でしょ。しっかりしてくださいよ……」

とミーアはため息交じりに言った。そんな二人に「わるい」と謝る。

 ケンは全身鎧をつけた剣士のモンスターでミーアは小人のような魔法使いのモンスターである。私はケンに訓練の手伝いを頼まれていた。ちなみにミーアはケンにただついてきただけである。(なのでミーアに文句を言われる筋合いは多分ないのだが)

 二人もまた他と比べると自由意志を持っている。……というかこんな風にしゃべったり訓練したりするモンスターはほとんど自由意志を持っている。

自由意志を持たないモンスターはゲームのNPCのようなもので与えられた使命と自身の生存に必要な行動以外を通常は行わない。私やケンが話しかけても無視するだけなのである。ただ黙々と使命を全うする。自由意志を持つ者から見れば「つまらない」以外の何物でもない。

~~~

 私はケンの訓練を二時間程度手伝った。ケンも着々と実力を磨いているが私にはまだまだ及ばない。

 私が帰ろうと廃れた神殿のようなものが広がっている五階を歩いていた時、突然一匹のモンスターが走りながら

「敵襲!敵襲!相手は冒険者三名!ただいま二階を攻略中!」

と叫びながら六階への階段がある方に砂煙を上げながら走り去った。どうやらダンジョンを攻略しようとするやつが現れたようだ。

 ダンジョン内部には忌まわしき宝箱がありそれを狙った冒険者やモンスターがダンジョンに時間を気にせず不法侵入する。私たちの役割は招かれた不法侵入者、もとい冒険者やモンスターを倒し、ダンジョンの糧にすることである。

 私はその魔物を追って急いで自分の持ち場に戻るのであった。


……ところでそのころ、一人ポツンと残されたクロマは

「……私、誘われてない」

一人でいじけていた。

おそらく大半の人が初めまして!青イズナです

読んでいただきありがとうございます

新米作者(2023、12月~)ですが、頑張りますのでよろしくお願いいたします

感想や誤字などなど受け付けておりますので良ければお願いします

作者の励みと質の向上に繋がります。多分…


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