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悪役令嬢を処断

「立派なものだ」

 褒めるべきではないだろう。

 だが、達成した事の大きさは素直に賞賛出来る。

 短期間で都の多くの牛耳った手練手管。

 その手腕は確かである。



 そんな侯爵令嬢を見て、王子は思う。

 物語に出てくる悪役令嬢のようだと。

 歴史になの残す悪女そのものだと。

「打ち立てた業績は見事。

 しかし」

 それでも認めるわけにはいかない。



「やらかした事は処断に値する」

 だから剣をふるう。

 二度三度と。

 何度も何度も。

 一撃だけで終わらせはしない。

 確実に命を絶ちきるために、何度も刃をふる。



 万が一にも息を吹き返したらかなわない。

 このような能力をもつ怪物が生きていたら、再び地獄が作り出される。

 確実に息の根を止めねばならない。

 その為にも、確実に息の根を止める。

 死体蹴りを何度も繰り返しても。



 王子からすれば不思議でしょうがない。

 なぜ何度も刃を突き刺さないのか?

 なぜ死体蹴りといって蔑むのか?

 相手を確実に殺さねば、生きかえるかもしれない。

 治療を施されるかもしれない。

 そうなったらどうするのか?



 敵は確実に殺す。

 生かしておくわけにはいかない。

 それが分かってない不届き者の考えが理解出来なかった。

 問題のある輩が再起する可能性を残すからだ。



 死体蹴りなどと言ってる場合ではない。

 むしろ、死体蹴りをしない方が道義にもとる。

 危険な存在を確実に殺す事を妨げるからだ。

 そういう輩こそ、悪逆非道というべきだろう。



 そう思うからこそ、王子は侯爵令嬢を何度も突き刺した。

 もちろん、急所も突き刺していく。

 治療しようにも手の施しようがなくなるように。

 生きていたら何が起こるか分からない。

 ここで確実に殺しておくしかない。



 取り巻きの令嬢も同じだ。

 今まで侯爵令嬢のそばにいて美味い汁をすすってきたのだ。

 無罪放免とはいかない。

 この場で全員皆殺しにするしかない。



 王子の剣がひらめく。

 震えていた取り巻き令嬢達が死んでいく。

 事切れた者達は、その場に倒れ、血を流していく。

 更に王子は急所を突いてとどめを刺す。



 不安もあった。

 今回、表に立った侯爵令嬢。

 それは本当に本人なのか?

 影武者だったのではないか?

 侯爵令嬢本人と顔を合わせた事はここ最近全くない。

 顔立ちも朧気だ。

 もしかしたら、よく似た雰囲気の別の娘を立ててるのではない。

 そんな不安があった。



 そして、本人は表に立つ事なく、それでいて最も近い所にいるかもしれない。

 そう、たとえば。

 取り巻きの令嬢に扮して。

 影武者である侯爵令嬢の最も近くに潜んでるかもしれない。

 そして、近くで様々な指示を出してるのかも。



 そういう可能性も否定出来なかった。

 とにかく、今は何でもありえる。

 ありえないという事がありえない。

 思い付くあらゆる事に対処しなければならない。

 それでも、思い付かなかった何かが潜んでるかもしれないのだ。

 ならば、思い付く事だけでも確実に対処しなければならない。

 今後を考えれば、問題の可能性が少しでもあれば処分するしかない。



 だから取り巻きを含め、令嬢は全員始末するしかなかった。

 取り巻き以外の者達もだ。

 侯爵令嬢の派閥にいた者達は全員根絶やしにする。

 そうでないと都にはびこり、国に影響を及ぼす問題を駆除できない。



 やるからには徹底的に。

 これを邪魔する全てが敵だった。



 その対象は卒業パーティの出席者全員に及ぶ。

 そのほとんど全てが侯爵令嬢の派閥の者達だ。

 全てが王子の敵である。

 侯爵令嬢としては、自分の力を見せつけたかったのだろう。



 だが、言い換えればそれは、この場に敵の中枢が集まってるともいう。

 ならば、これらを一網打尽にすれば全てが潰れる。

 少なくとも、司令部・中枢を破壊出来る。

 この機会を逃すわけにはいかなかった。



 罠の可能性もある。

 派閥の中枢と思わせて、実はそうではない。

 捨て駒に出来る者達を送り込み、本体は安全地帯にいるかもしれない。

 パーティ会場にいる者達が潰滅しても、侯爵令嬢の派閥は守られるかもしれない。

 それでも構わなかった。

 パーティ会場にいる者達だけでも倒せば、その分手駒が減る。

 今後の行動がやりやすくなる。



 その為にもパーティ会場にいる者は皆殺しにしなければならない。

 王子側の有志以外は。

 その作業は順調に進んでいる。

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