8話 羅城門をめざして、
どこまでも広がる広大な雪降る都、その果てに巨大な門がうっすらと見える。
禍津日はそんな門を眺めて暫く考え事をした後瑠奈とこれからについて話す。
「今日はひとまずあの門のところまで行ってみるのじゃ。」
「門って、あの大きいの?凄く遠くにあるように見えるけど…」
「そうじゃの、じゃがこの雪じゃ、門の下でなら雪もしのげるじゃろ」
「どこか家に入るのじゃダメなの?私疲れたんだけど」
「お主のぉ、いきなり他人が家に入ってきたら嫌じゃろ?自分がされて嫌な事は他人にしてはならぬのじゃ」
正直なところ瑠奈はこれ以上歩きたくなかったので、その後も何とか門に行く以外の選択肢を提案したがことごとく却下されてしまった。
呆れた禍津日から「そんなに歩きたくないのか」と聞かれ、迷わず「うん」と即答した結果、禍津日は瑠奈を置いて先に行こうとしだした。もちろん瑠奈としてはそんな事されたらたまったものではないので急いで後をついて行く。
瑠奈は文句を言いながらも禍津日の隣を歩く、二人は門に向かって大通りを真っ直ぐ進んでいくが次第に太陽が傾きはじめ空が赤みを帯びてくる。
「もう夕方だよね?あれから全然門に近づいている感じしないんだけど…」
「うむ、じゃが同じところを歩いている感じもしないのじゃがな、」
禍津日の言う通り二人が歩く道の景色は前に行くにつれどんどん変化している。だが、何故か門だけはまるで投影されえ映像のように変化する事がない。
禍津日はまた一人で考え事をしはじめたので瑠奈は仕方なく周りの景色をみて暇を潰すことにした。頭が花の人間もどきにも最初こそ驚いたが危害は無い事が分かった今ではただの背景である。
「今は雪降る京都の町を楽しもう」そう心にきめ暫く楽しんでいた瑠奈だったが、ふと楽しめないものを見てしまった。
大通りの家屋から現れた人間もどきの頭についた花が急速に枯れ始め、そのまま地面に溶けるように消えて行ってしまったのだ。
瑠奈は口をパクパクさせながら禍津日の方を揺さぶりされる先程人間もどきが消えていった地面を指さす。だがもちろんそこに人間もどきがいた痕跡は何も残っておらず、禍津日は「そこまでして休みたいのかの?」とクスクス笑っている。
しかし禍津日は急に笑うのをやめると瑠奈を小脇に抱えて大通りの横道に飛び込んだ。禍津日の体はガクガク震えており手や顔には大量の汗をかいている、瑠奈が一体どうしたのかと聞いても禍津日は一点を見つめて答えない。瑠奈が禍津日の見つめている方向を見る為に顔を向けようとした所で禍津日が「みるでないのじゃ!」と叫ぶ。さらに口の前で人差し指を立て「何もいうでないのじゃ」と一言いうとまた瑠奈を抱えて走り始めた。
禍津日は人間一人を抱えていると思えないほど軽快に都の中を駆けていく。しかし瑠奈は何が起きていのか分からず咄嗟に目を開けた、そして見てしまったのだ。
三メートルはゆうに超える真紅の体、頭には金色の角が一本はえた大男を。その姿はまるで…
「鬼…!?」
「見るなと言うておろうが!じゃが見てしまったものは仕方がないのじゃ。怖がるでない、妾は必ず逃げ切ってみせるのじゃ!」
「し、信じてるからね!」
「のじゃ!」
禍津日は瑠奈を小脇に抱えていた状態からお姫様抱っこの状態に持ち替え、さらにスピードをあげる。
瑠奈が突然のお姫様抱っこに戸惑っていると禍津日から「我慢するのじゃ、あのままじゃと何処かでお主を落としかねん」といわれる。幼女にお姫様抱っこされるとは思っていなかったが、これはこれでありかもしれないなと思った瑠奈であった。
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