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地下300Mからの・・  作者: 生丸八光
6/19

6話まさか・・・

200年が経った事を知らされ、高杉は立ち上がる!


暗闇の中をゆっくり歩き、扉の前に座り込んだ・・トトも高杉の隣へ・・・ムムは相変わらず回し車を走らせていた・・・


しかし、2時間待っても扉は(ひら)かない・・・


()かねぇなぁ・・まぁ、200年を数えたんだ・・・かなり誤差が出るだろう・・」

高杉がそう言うと、トトが

「誤差は殆んどないハズだって、ムムが・・」

「そ、そうなのか・・・」


が、そのまま3日経っても(ひら)かなかった・・・


「扉の電気がダメなのかもしれないな・・・」


高杉は扉が開かなくても落ち着いていた。それどころか、ホッとしているような・・・暗闇での200年間の暮らしにすっかり慣れていたのだ。


長い引きこもり生活・・昔の記憶は薄れてしまい、外に出たい気持ちも無くなっていた。それでも、扉が開けば地上に出なければ・・・


扉が(ひら)かずホッとしていたのだ。


高杉は、もう(ひら)かないと思ったのか瞑想を始める。その瞑想は、いつもより深くて長かった・・・




次に高杉が目覚めると、5年の月日が流れていた。


『まだ、()いてないのか・・・』

そう呟き、静かに立ち上がる。隣の食料庫へ行き、ポテトチップスを1袋手に取り、食べ始めた・・・


「・・・相変わらず、旨いな・・」


ここ100年程、何も口にしてなかった高杉・・続いてビールも一口・・・

「・・・こんな味だったけ・・」

と残りを一気に流し込み、溜め息を付く・・・


扉の前に戻ってきた高杉は、再び座り込むと地上を見上げ


「なぁ、トト・・地上は今、どうなってると思う?俺達のいた頃と大分変わっちまったかな・・・」

「う~ん・・・凄く変わってると思う。200年以上()ってるし、科学技術だって凄く進歩してるよ。」


「だよな・・車なんか空を飛んでるかもな・・」


「そんなモンじゃないよ!もっと進んでると思う!ワームホールを開いて他の銀河までワープしたり、宇宙戦艦を造って宇宙人と戦争してるかも!タイムマシンだって出来てて・・・」


何やら興奮の様子のトト・・・


「トト・・お前、漫画の読みすぎじゃねぇのか!」


「・・・そうかも・・でも、人間は賢いから、凄く進歩してると思うけどなぁ・・・」


「賢いか・・ずる賢いだけだよ人間は・・表向きはいい顔をしてるが裏では自分の利益に執着し、他人の足を引っ張り蹴落とす!科学技術が進歩した処で一部の人間が得するだけで、世の中そう簡単に変わらないさ・・・人間そのモノを進化させねぇと不安が増すだけだ!」


「・・僕には、よく分からないよ・・・人間の事も地上の事も・・・地上では、ほとんどゲージの中にいたし・・」


「・・・そうだったな・・俺がスーパージョブ細胞を造ったのは、根本的に人間を進化させて不安を取り除き、みんなが幸せになって、世界を一つにしたかったんだ!」



高杉は、地上や人間の事を考えている内に、地上がどうなっているのか知りたくなっていた。が、扉は開かない・・・立ち上がって歩き出し、壁に手を付けると手探りで前に削った所を探す・・・


50年位(こす)り続けて止めてしまった所・・深さ1cmに長さ1m程のキズを見つけると、ビール缶を潰して壁を(こす)り始めた!


ただひたすら壁を(こす)り続ける。腕立てやランニングも止め、ひたすら擦り続ける・・・




壁を擦り続けて100年が過ぎていた・・・


それでも削れたのは、深さ1cmで1辺の長さが1mの正方形の輪郭だけ・・・それでも擦り続けた。


その内高杉は、擦りながら瞑想する事が出来るようになっていた。深い瞑想状態の中でひたすら擦り続けて行く・・・



ムムが、また200年が過ぎた事を伝える・・・



高杉は、ただひたすら壁を擦っていた・・・








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