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地下300Mからの・・  作者: 生丸八光
4/19

4話50年後・・・

地下に閉じ込められてから、50年が過ぎていた。


高杉は、何やら熱心に研究をしているようだ・・白衣を身に(まと)い顕微鏡を除き込む。


「見つけたぞ!この遺伝子だ。神経細胞のタンパク合成が異常に速い・・上皮細胞での再生もいいぞ!どんどん形成されていく・・」


高杉は夢の中にいた・・そこには、今にも死にそうなトム・・


「待ってろよ!トム!今、注射してやる!」


注射されたトムは、みるみる元気になり、ゲージの中を走り回った。

「よし!これで寿命が延びるぞ・・」


・・・と、目を覚ました高杉は闇の中・・


一筋の光も見えない地下300メートルの暗闇・・夢の中だけが高杉に光をあてた・・


トトは暗闇の中で漫画を読み。ムムは、ひたすら回し車を走らせる。


目覚めた高杉は、手探りで(ぬの)()れを手に取ると、()を覆い、顔に巻き付け闇の中を歩き出す・・


高杉は、暗闇になって40年間で分かった事が幾つかあった。それは、起きていて暗闇しか見えないと、恐怖感とストレスを感じてしまうが、目を閉じればストレスなく、逆に集中力が増し、感覚が研ぎ澄まされる事に。


同じ暗闇でも目を開けているのと、閉じているのとでは感じ方が全然違うのだ!


ゴミを旨く避け壁際で座り込むと、壁を(こす)り始める・・

『水滴だって、岩に穴を開けるんだ・・』


そう思って、この数十年アルミ缶で毎日壁を(こす)って来たが、壁は頑丈だった・・

「ここは、まるで巨大な金庫だな・・」


しばらく擦り続けると、飽きてきたのか立ち上がって歩き出す・・少しずつスピードを上げ走り出した!


暗闇の中で、決まったコースをグルグル回り、1時間程走ると腕立て伏せに腹筋、背筋・・次々と筋力を鍛えると空手やシャドーボクシングを始める・・


「違うよ健三!もっと顎を引いて!腰を下げる!」


「お、おう・・そうか・・」


「もっと早く!腰を使って!」


 何故かトトは、格闘の知識を深めていた・・


「健三!人差し指で相手の眉間を思いっきり突ければ、頭を爆発さる事が出来るんだ!」


「トト・・それは漫画の中だけだ・・」

「そ・・そうなの」


高杉はシャワーを浴びに行く・・

 暗闇で何も見えなくなったが、全ての電気が付かない訳じゃなかった。空調や給湯器の電気は生きていた・・


熱いシャワーを浴び、サッパリした高杉は布団の上で胡座(あぐら)をかき、瞑想を始める。


薄目(うすめ)を開けて、青々と生い茂る森の中にいる自分をイメージして・・


深い瞑想状態に入った高杉・・急に肩を掴まれる感覚が走った!目を開け、暗闇に目を凝らすとゴハンの姿(すがた)が見える。手にナイフを持って高杉に襲い掛かって来た!


ビックリして逃げようとするが、体が動かない・・


『うわぁわわわわっ~!・・』


体を動かそうと必死にもがく!


『んぐぐぐぅ・・「ぐわぁっ!」』

叫び声と共に体が動いた瞬間!目の前が真っ暗に!


暗闇になって気付いた。


夢を見ていたことに・・


高杉は大きく息を吐き、ぼーっと暗闇を見つめる・・


地下に閉じ込められて50年。地上にいた35年よりも(なが)く地下で生きて来たが、今でも時々、暗闇と悪夢に恐怖を感じる高杉であった・・


















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