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「では、僕もいただこうかな。それにしても、本当にたくさん種類があるね。」
さすが、王太子。大人だな。
自分が先に席に着くことで、他の子達も誘ってる。
王族でありながら、他者を思いやる行動ができる。
こういう所が、次期国王に相応しいのだろう。
『カルル。王太子殿下は甘さ控えめなものを好むわ。どれがそうなのか、殿下の付き人にお教えして』
「…はい。そのように。」
今のは、テレパシーみたいなもの。
前世の記憶から勝手に私が考え出した魔法。
もちろん、他の人は使えない。
というか、使い方を知ってるのも私だけなら、
私がこの魔法を作ったのもカルルしか知らない。
じーっ
ゔっ。何故こっちを見ているのかしら。
気づかれるはず無いのだけれど。
王族は魔法に敏感とか?そんな設定あったかな。
「さ、さぁ皆さん。お召し上がりください。」
パク
「なっ…これはっ」
「んっ」
みんな口元を抑える。
「なんだっ!?まさか毒でもっ!?」
「お嬢様!しっかり!」
「くそっ…どういう事だっ!」
「ルイワール令嬢!説明しr「黙りなさい。」
「「くっ…」」
カチャン
「あなた方は主人の顔をしっかり見ていないのかしら?よくご覧なさい。」
「「お、美味しい〜!」」
「「……え?」」
「クリームが軽い!フルーツが新鮮!」
「採れたばかりのミルクと、裏山で育ててるフルーツです。」
「ジャムなのに、この食感、たまりません。」
「普通のジャムに、切ったフルーツを後から入れて他にない食感を出してますわ。」
「チョコレートなのに、甘すぎない。」
「原料のカカオの割合を高く、砂糖の割合を少なくしてるんですの。」
「これは、カボチャかな?ほのかな甘味が優しい」
「はい。もともとカボチャは火を通す事で甘みが増すので、タルトに最適なのです。栄養も豊富で食べ過ぎなければお肌などにも良いですよ。」
何人か目をギラつかせたわね。
さすが、子供でも貴族の御令嬢だわ。
「…ルイワール令嬢。先程は早まった行動失礼致しました。」
「私もです。疑ってしまい。本当に申し訳ございませんでした。」
「「申し訳ございません。」」
「あはは。お気になさらず。私も偉そうな口調でしたし。」
もし手を出そうとしていたら、先にカルルが動くしね。
「あ、あの!ティアリスさま!僕らでも食べれるケーキありますかあ?」
「こら!マティ、ベティ、いきなり失礼でしょ。すみません。ルイワール令嬢。」
「いえいえ。可愛い双子ちゃんですね。もしかしてアレルギーですか?」
「ええ。小麦と乳製品がダメで。」
あ、それなら!
「はい。これなら平気よ。」
「えっ!あの…これは普通のケーキでは?」
「不安でしたら夫人もどうぞ?」
「「お、おいしいー!」」
「あら本当。でもやっぱり普通のケーキにしか見えないわ。アレルギー反応は出てないようだけど。」
「これは、ダイズというものから作ったケーキです。小麦のように粉状にすることもできれば、ミルクのように液状にもできる物なのですよ。これでケーキもパンも、何でも出来ちゃいます!」
ぽんっ
「ここには、あなた達の食べられるものがたっくさんあるから遠慮せずに聞いてね!」
「「はい!」」
「夫人。お帰りの際にダイズで出来た粉やミルク、レシピもお渡ししますね。ぜひおたくのシェフにお伝えください。うちの領地の市場などにはどこにでも売ってますので、皆様もぜひ!」
「何から何までありがとうございます。」
私って割と宣伝上手じゃない?
まぁ、ダイズについては豆腐が食べたいという理由だけで似た植物がないかと探しまくった結果、全く同じ見た目、味、名前のものを見つけ出した。さすが、作者が日本人なだけあるわ。