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モブ令嬢は楽して生きたい!  作者: はーきぃ。
3/10

2


「お嬢、ご挨拶」


カルルの言葉で現実に意識を戻す。


「王太子殿下にご挨拶申し上げます。ルイワール家が娘ティアリス=フォン=ルイワールと申します。」


「丁寧にどうも。ルイワール嬢。会うのは初めてだね。フェディック=ファン=フロランスだ。」


ええ、ええ、知ってますとも。

容姿端麗、頭脳明晰、少々性格に難ありだが、一国の王としてはパーフェクト。


貴族や王族は、幼い頃から婚約者を決める。

それなりの教育を受けなくてはいけないからだ。

しかしこの王太子、ぬらりくらりと婚約をかわし続けたのである。

なのでよくある、婚約破棄だー!なんてことしないのだ。まぁ普通は大勢の前でそんな宣言する馬鹿の方が稀なのだが。


そしてヒロインと出会い、カクカクしかじかで、結ばれるのが王太子ルート。


なんとこの小説、作者が描きたかったのか、はたまた読者からの声なのか、全ルートのエンドストーリーがあるのだ。

つまり全てはヒロインが誰と結ばれたいかによるのである。


まぁ、ヒロインだから仕方ないのだけれど、色んな人とフラグを立て、思わせぶりな態度ばかり、女友達できないタイプの子よね。


おっといけない、また現実を忘れていた。

カルルが今日くらいはちゃんとしろ、とでも言いたげな顔で見てるけど気にしない気にしない。


「君は…随分従者と仲が良いみたいだね。」


「?まぁ、そうですね。」


グイッとカルルを引き寄せる。


「一心同体なので。」


「なっ…お、お嬢っ!?/////」


「だって、ずっと一緒に居てくれるんでしょ?」


「あたりまえです…/////」


この世界での最初の友達だもん。

クスクスと嘲笑う声が聞こえる。でも気にしないの。

私は気に入った人と一緒に居るだけなんだから。


あと笑った人たち、顔は覚えたわよ。

ニッコリと黒い笑みを向けてあげると嘲笑ってた人達は顔を逸らした。


「あははは!君は面白いね!」


一応貴族として育ってるけど中身は庶民だからね。

むしろ世界中を旅してた分、自給自足の野生児か。


「!…本日はお招き頂きありがとうございます。ルイワール伯爵、伯爵夫人」


いつの間にか近くに来ていたパパとママ。

パパにヒョイっと抱き上げられる。


「殿下。お越し頂き光栄です。」


あ…。表情が普通の子供みたいに柔らかくなった。パパのこと信頼してるんだ。


「パ…お父様はお知り合いだったのね。」


「…実は今まで話してなかったけれど、殿下とは遠い親戚にあたるんだよ。ティアのお爺ちゃんは前国王の弟なんだ。今のグランパート王はパパの従兄弟で、殿下とは王都に行った際に剣の訓練なんかを一緒にしているんだよ。」


それで、殿下と仲が良いんだ。師匠と弟子みたいな関係なのかな。うちのパパは小説の主要人物を虜にするほど人として出来た人なのね。えっへん!


「あら、ではノイヴァン公爵家の方々も?」


「あぁ、そうだ。俺の祖父は前国王の2番目の弟。お前の祖父は3番目の弟。つまり俺たちも遠い親戚なんだよ。まさか本当に知らなかったとは。」


少々呆れ気味にアダム=フィル=ノイヴァンが言い放つ。


「だってしょうがないよ。うちの子可愛い!マジ天使!だから〜、成長が嬉しすぎてそんな事話す暇ないもん。ね、エスティ。」


「そうよね〜。別に知らなくてもまだ困らないし。

そんな事はいつでも話せるけど、ティアの成長は一瞬でも見逃せないもの!」


王家との関わりをそんな事で済ますなんて流石親バカ

周りがドン引きしちゃってるじゃない。


「あ、そういえば、さっきうちの天使と、大事な従者を笑ってた方々が居たそうじゃないか。一体何処のどいつだい?」


パパがドス黒いオーラを纏って笑うと、ピシッとあたりが凍りつく。

でもね、うちの怖さはパパよりママ。


「ティアと…カルルを…ねぇ。」


あーあ。怒っちゃった。


小説では、ルイワール家は名前しか出てこなかったがそれなりに位の高い家。

まぁ王族の親戚という事情がわかったので納得なんだけど。確かママはこの国でもかなり上級の魔法使いという設定だったはず。

こんなにうまい要素が豊富なのに小説の主要人物にならなかったのは、兄達が少ししか歳が離れてないから、先生の歳でもなければ学年も被らないため学園ラブコメ要素がない。

きっとそんな設定にしたのも、私や兄を主要人物にしたところで、王族の血筋がヒロインの周りに多すぎるから。(王太子、公爵家、伯爵家)

あとは単純に登場人物が多すぎて作者のキャパオーバー。こんなとこだろう。


神様、主要人物じゃないからってモブとは限らないのよ。それなりの家門だと色々大変なんだよ人間て。

今世終わったら一回会えないかな、説教してやる。

本当にもう。何度人を困らせたら気が済むんだ。


あ、いけない、いけない。

今はそんな事考えてる場合じゃなかった。

カルルが笑顔でパパとママをなだめつつ私に助けてくれと言ってる。目で。


「パパ、ママ」


威嚇モードから一気にいつものゆるゆるな顔へ。


「ティアね…ケーキ食べたい。」


必殺おねだり攻撃。効果は抜群。


「「すぐ持ってくる!」」


「「すぐご用意します!」」


あ、あれ?使用人のみんなまで?


「…カルル。逃げない?」


「んー。無理ですね。逃げ切れる気がしません。きっと物凄い量持ってきますよ。」


ガシッ


「カルル。私達いつまでも一緒よ。逃げようったってそうは行かないわ。」


「お嬢。逃げるだなんて人聞きの悪い。俺はただお茶でも用意しようかと。」


「いや、逃げる。絶対に。私に気づかれないよう静かに後退りしたの知ってるのよ。」


「…お嬢。ここは、私が囮になるからあなたは逃げてって言うところですよ。」


「そっくりそのままお返しするわ。むしろ貴方が言うべきセリフだと思うけど!?従者よね!?」


「…しょうがない。かくなる上は。」


ドンッーガタッーズラッーコポポッ

あっという間に出来たテーブル席。

本当、仕事は早いのよね。

そこへ次々と私の頼んだケーキを運んでくる。

どんどん、どんどん、どんどん、大量のケーキが。


「御令嬢方、御令息方、どうぞお茶の時間をお楽しみ下さい。」


「「うわぁー!(パチパチパチ)」」


どうよ。これがうちの従者よ。舐めないで貰いたい。

主人への態度はともかく、完璧でしょ。

鮮やかに自分が大量のケーキから逃れる術も。


「カルル…私、忘れないわ。ふふふ。」

※意味:あとで覚えてろ。


「は…ははは…」


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