表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

第6部 最終章

ついに愛機から降りる決心をしたロン。

その訳は以外なものだった。

この物語はフィクションです。

登場する人物・施設等は全て架空のもので、実存するものとは何ら関係ありません。

実際の運転は、マナーを守り安全運転を心掛けましょう。



ACT.1 FSW-S


その日は、Nurに換装して初めての走行会だった。

いつもの霊峰富士に程近い富士スピードウェイ。

だが、世界有数のストレートを持つ本コースではなく、

こじんまりとしたショートコースである。

最高速は試せないが、それでも3速まで全開で踏める。

ピットからの走り出しが軽い。

Rをショップに引き取りに行った時にも感じたが、

明らかに別エンジンだと実感する。

これが職人によって手組されたNurエンジンなのか。

アウトラップを終え、タイムアタックに移行した。

結果、ラジアルタイヤ部門での最速をマーク。

3台居た34Rよりも速い結果に満足だった。

本コースのストレートでどれだけ出るか楽しみだ。



ACT.2 PowerだけじゃないNur


ある夏の日、北アルプスへとノーズを向けた。

穂高連峰への玄関口である上高地までは、自宅から

往復で約500kmほどである。

特別に燃費を意識せずに流れに乗って高速を走った。

真夏だからエアコンも普通に使った。

満タン法での計算であるが、8.2km/Lと2.6リッター

ツインターボとは思えない結果に驚いた。

それまでの純正RB26では、エアコンすら我慢当然の

燃費走行をしても、7.0km/Lが精一杯だったからだ。

ライン組と違い、手組のNurは内部のフリクションが

小さく、エネルギーロスが少ないのだろう。

そんなNurの側面も堪らない魅力だった。



ACT.3 終焉


時は流れ2015年の春、人生を動かす出来事があった。

現状を変える事は厳しいと判っていたが歩き出した。

だが、立ちはだかる障壁は多く、ついに力尽きた。

何も与えられず、何も教えられず、彷徨う日々が続いた。

それでも自分の真意に嘘は無く、やれる事は全てやった。

しかしそれは自己満足でしかなく上手く伝わらなかった。

「どうして私だけ…」

その言葉が心の奥底に突き刺さって取れなかった。

だから、自分の一番大切な愛機を手放した。

それは愚かな行為だとも判っていた。

だが相手と同じだけの痛手を負うためには、それ以外の

方法は考えつかなかった。


2015年初冬、22年間も苦楽を供にした愛機がついに俺の

元から去っていった。

想像を絶する絶望的な喪失感から、未だに立ち直る事が

出来ないままでいる。


― 完 ―


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ