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第5部 Newエンジン

ロンのエンジンが死んだ。

途方に暮れるロンだったが、捨てる神あれば拾う神あり、いや

渡りに船で、Newエンジンを手に入れたロン。

ロンはまた走りだすのか?


ACT.1 FSW


その日は、地元で世話になっているショップの走行会だった。

山頂が白くなった霊峰富士に程近い富士スピードウェイ。

10月だけあって、晴天だと昼間の気温はまだ高い。

現在の仕様だと連続周回は5周といったところだ。

残り時間15分で、最後のタイムアタックに入った。

最終コーナーを立ち上り、メインストレートでバックミラーを確認すると、

何故かみんな俺のスリップから逃げていく。

よく見ると、愛機から間違いなくスモークが…。

ヤバイ!

アクセルを戻し、ハザードを焚いてピットへと戻った。



ACT.2 The End of RB26


愛機のボンネットを開けると、悲惨な状況が目に飛び込んできた。

高温で霧状になったOILでエンジンルームは真っ黒だ。

何処からリークしているのか判断出来ない。

OIL残量を確認すると、幸いまだ半分以上残っていた。

「まだなんとか自走出来るな…」

OILが残っているうちに、自宅へ戻ることにした。

自宅ガレージでエンジンルームを清掃し、リーク元を探した。

どうやら、ブロックにヘアークラックが発生して、高負荷時にそこから

噴霧するらしい。

15年使ったエンジンがついに悲鳴をあげた。



ACT.3 ダブルショック


翌週、ショップを訪れてリビルトエンジンの在庫を確認してもらったが

時既に遅し…。

日産がRB26リビルトエンジンの販売を終了したのは2ヶ月前だった。

もう1機も残ってないらしい。

実はこの夏前にエンジン乗替えを計画していたのだが、予算不足で実現

しなかったのだ。

リビルトエンジンの販売が終了すると知っていれば、無理にでも敢行し

ていたのにと思うと、後悔の追い討ちでダブルショックである。



ACT.4 一通のメール…


バッテッリを外して、冬眠状態の愛機のエンジンから一滴一滴と、血液

とも言えるOILが滴り落ちている。胸が締め付けられる思いだ。

騙し騙し乗れば何とかなるだろうが、もう全開には出来ない。

俺の心模様とリンクするように、秋の空もスッキリしない日が続いた。

そんなある日、後輩のタカシから久しぶりにメールが来た。

「Rを降りる事にしました」たったそれだけだった。

詳しい話は解らないが、二人目が産まれてチャイルドシートを2台付け

るにはムリがあるのと、これからは彼の奥さんも運転する機会が増える

訳だが、AT限定免許では話しにならない。

そんなのがRを降りる理由らしい。

本人が納得して降りるのだから、他人の俺がとやかく言う筋合は無いが、

最近は、これがチューニングカーを降りる理由で最も多いらしい。

俺はそれがイヤで、家族用に軽カーを買い、家を建てた時も居住空間よ

りも、まずは車が2台駐車出来る事が「最重要項目」だった。

かくして我家のガレージに、純白と漆黒のGT-Rが並ぶ日がやって来た。



ACT.5 Nurエンジン


タカシのRは、2年前にNurエンジンに乗替えたばかりだった。

だが、ボディがボロボロで下取り価格も付かないらしい。

単に廃車にするくらいなら、俺に使って欲しいと連絡をくれたのだ。

まさに「捨てる神あれば拾う神あり」いや「渡りに船」だった。

早速、ショップにエンジン換装の手配をお願いした。

タカシのRには他にも「オイシイ」パーツが沢山装着してあった。

再使用可能なパーツは全て移植することにした。

併せて、ヘタったクラッチもレーシングカーボンツインを新調した。

カーボンクラッチの慣らしに半クラ操作が200回程必要らしい。


もうすぐ換装作業は完了する。

クラッチの慣らしが終われば、またユウジと湾岸や峠を疾走れる。

俺はそれを心の糧に、日々の詰まらない仕事をこなしている。


― 第5部 完 ―

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