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朝、また同じ時間に目が覚める。

ぼんやりと黒い部屋を見回して、自分の呼吸を確認する。

確実に生命が蝕まれている。けれどもまだ死ねない。





今日も殿下がいらしゃった。

正直顔も合わせたくない………。

殿下は当たり前のように私の隣に座っている。

ど、どうして……………。


「サーシャ。おい、サーシャ」

「はっはい!!!なにか御用でしょうか殿下」

「…オマエ、なんで殿下って呼ぶんだよ。ちゃんと俺にはクローズっていう名前があるんだ。そう呼べよ」

「わ、わかりました。クローズ様」


名前を呼んだというのに彼は不満げだった。

頬をぷっくりと膨らませている様子はまだ幼さが残っている彼にぴったりで。


「…アハハっ」


つい笑ってしまった。


「あっクローズ様、申し訳ありません。あの、笑ってし」

「もう1回」

「へ?」

「もう1回、笑ってくれ」


クローズ様は身を乗り出して私の腕を掴んだ。

さっきまで近い距離にいたというのに、顔を近づけられてしまっては怯んでしまう。顔がいいのだ。

とりあえず私は笑顔を作ってみる。


「……こう、でしょうか?」

「違うけど。今日はこれで我慢する。明日はオマエを笑わしてやるからなー!!!!」


そう言い残してクローズ様は走って屋敷を出ていってしまった。

………見送りしてない。まぁいっか。多分いなくなってるだろうし。

…にしてもクローズ様やっぱ顔がいい。

いかんいかん。いくら私が前世で面食いだからといっていい思い出がなかっただろ………しかも俺様ぞ?

あ、お姉ちゃん………お姉ちゃんが男に転生してたらいいのにな………


「ん、そういや市場に行ったこと無かったな…そこにお姉ちゃんがいるかもしれない」


思い立ったら吉日!お父様に言ってみよう。いや、いくら私にあまあまでも許してくれないのでは?

私は一人で悩んでみる。まぁ答えは決まってるけど!



………うん!抜け出そう!!これしかない!

昼過ぎくらいが丁度いいでしょ。

ひっそり蓄えてたお小遣いのお金もあるし満喫する準備は万全!



拝啓お姉ちゃん。必ずあなたを見つけてみせます!


「えい!えい!おー!」


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