追放者さん、さっさと高みに登っちゃいなよ
ま~そう言うパターンも中にはあるかもね。
今日も薬草採取の終わりに、ギルドに寄って、ギルド職員の方と応接室で、話し合い。
本当に、面倒くさい……。
あぁ~話し合いが面倒くさい訳ではないから。何度も相談に乗ってくれたギルド職員さん。感謝してます。
普通であれば、今後の対策。なんて話し合いをする必要が無い事に対して、ここまで時間を取られる。って事が面倒くさい。
俺は、冒険者ギルド所属のCランク冒険者だ。
田舎の農村で育った、幼馴染み5人で、都会に夢を持って、揃って村から出てきた。
揃ってギルドに登録をして、そのままパーティーを結成した。
あの日から、1人を除いて、同じメンツでずっと頑張っている。
俺達のパーティーには、何か特殊なスキルを持った奴とかは、居ない。居ないなら、居ないなりに、それなりに上手くやっていく方法はいくらでもある。荷物が多く必要になる依頼。荷物が増える討伐系の依頼。そう言う物を受理する回数を減らし、荷物が比較的少なくて済む、採取を多くこなす。とかな。
そんな、創意工夫をみんなで話し合って、コツコツと依頼をこなして行った結果。何とか一人前と周りからも認められるCランク冒険者に成った。
まぁ、そんな堅実ってヤツを絵に書いた、十把一絡げなどこにでも居る冒険者4人組のパーティーだ。
そんな俺達の身に現在進行形で、とあるトラブルが起きている。
一緒に生まれ故郷の農村から都会に出てきた、幼馴染みの中の1人に【剣聖】って言う、非常に持ってる人が少ない、特殊なスキルを持つ奴が居た。
駆け出しの頃は、コイツも勿論、俺達と同じパーティーに所属していて、一緒に手紙の配達や、ちょっとしたお手伝い。なんて言う、低級ランク向けの依頼をこなしていた。
だけど……ある程度、冒険者と言う仕事にも慣れ、ギルドのランクが上がってからは、少しずつ、俺達とソイツとの間に齟齬が生じて来るようになった。
アイツは、剣聖なんてスキルを持ってるおかげで、剣を手に持たせたら、もの凄く強い。
俺達が総掛かりで何とか倒せるオークなんかも、1人でサクサク倒しちゃうぐらいに。
ハッキリ言って【強さ】のレベルが段違いだ。
大人と子供以上の差がある。
最初の頃は、それでも問題は無かった……。
何故ならギルドのシステム上、低級ランクの冒険者が受注出来る依頼に決まりがあり、低級ランク向けの依頼しか受ける事が出来なかったからだ。
しかし……討伐依頼等も、比較的ある程度自由に好きな物を受注出来るCランクになった途端に、俺達とアイツとの仲に、ズレが生まれるようになってきた。
アイツは強い……とてつも無く強い。
俺達は弱い……アイツと比べたら。
俺達は、自分達の身の丈に合った依頼を、コツコツとこなし、堅実に冒険者と言う仕事を継続して行きたい。
アイツは、剣聖と言うスキルを持っているから、依頼料に比例して危険度の高い討伐依頼を受けたがっていた。
何度か、そんなアイツの強さを頼りに、危険度の高い依頼も受けてみた。
結果散々だった。
アイツの持つ剣聖と言うスキルは【個】にとてつもない強さを与えるスキルだ。俺達は、アイツと違い全員が満身創痍。
見るも無残なぐらい、ボロボロのボコボコにされてしまった。
そして、アイツを除いた全員で、話し合いをした結果。
『アイツには、剣聖と言うスキルを、十全に活かし活躍が出来る、能力に身合ったパーティーに行って、俺達の分も活躍して貰おう』
そう言う結論に達した。
冒険者ギルドの職員の何人かにも、相談をした。
冒険者ギルド側としても、俺達が感じていた問題に対して、職員間で話し合いをしていたらしい。
冒険者ギルドとしての見解は、全面的に俺達の出した話し合いの結果を支持する。と言う物だった。
そして……。
とある討伐依頼を、アイツ以外の俺達が、何とかこなして街に戻り、ギルドで報酬を貰い、いつものように、定宿にしている、宿屋の1階にある、酒場に集まった時。アイツに俺達の考えを伝えた上で、パーティーを抜けて欲しい旨を伝えた。
アイツは、俺達の思いも感じているズレも理解はしてくれなった。頑なに。
「俺達、揃って田舎から出てきて、一緒に頑張ろうって誓っただろ? 忘れたのかよ?」
そう繰り返し言うだけだった。
違うんだ……俺達にお前が必要としなくなったんじゃ無く、俺達がお前にとって足枷にしかならない事が、自分達で許せないんだ。
どうして、解ってくれないんだ。
その日、深夜まで話し合いは続いたが、結局、お互いが納得出来る終わり方には、至らなかった……。
その後も、何度も何度も、話し合いは、行われたのだが、話は平行線を辿るだけだった。
そして……ある晩……。
アイツと仲間の1人とが今までに無いぐらいのケンカを始めてしまった。お互いが熱くなり、怒鳴り合い、このまま殴り合いにまで発展しそうになった時、アイツは言ってしまったんだ。
「そんなに、俺を除け者にしたいなら、追放でも何でもしてみろよ!」
アイツと言い合いをしていた仲間は、その言葉に激昂して、売り言葉に買い言葉で言ってしまった。
『あ~そんなに追放して欲しいなら、お前は追放だよ』
そして、故郷を同じとする、幼馴染み5人で結成したパーティーは、その数を1人減らし、4人組パーティーとなった……。
その後、アイツは自分の能力に合ったパーティーに所属して、高度な依頼を、どんどんとこなし、冒険者としての高みに登ってくれていたら、こんな状況にも陥る事は無かっただろう。
現に、アイツの持つ強さに合った、高ランクの冒険者が揃う、有名なパーティーのいくつかが、アイツを勧誘していたぐらいなのだから。
だけど、アイツは、その選択肢を取らなかった……。
アイツは、どこから探して来たのか不明だが、自分で購入したであろう、とても冒険者としてやって行く事が困難だと、見ただけで分かる奴隷の少女と、冒険者としての素質のカケラすら無い、ギルドから除名処分が言い渡される寸前の少女と、パーティーを新たに結成した。
そんなパーティーメンバーしか居ない、アイツが新しく作ったパーティーに、高度な依頼をこなせる訳も無く、冒険者ギルド側も、むざむざ死人を増やす事になるだけの依頼を頼む訳も無く。
アイツの持つ【個】としての強さ頼りに、何とか俺達がこなす事の出来る依頼をこなしていた。
そしてアイツは、俺達の事を逆恨みして、事あるごとに、俺達に絡み。俺達を敵視し。俺達の邪魔をしてくるようになった。
アイツにとっては、きっと……。追放された元のパーティーに対して仕返しがしたかったのだろう。
そうじゃ無いんだ! 俺達はお前が冒険者として、最高の高みへと駆け上がる姿が見たかっただけなんだ。
俺達のような、凡人のせいで、お前の能力を埋もれさせたままにしておく事に、自分達で自分達を許せなかっただけなんだ。
こうして、今日も依頼の帰りに、冒険者ギルドに寄って、冒険者ギルドの職員との今後の対応と解決方法の話し合いが始まる……。
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