2 day ②
ーーーー 2 day ② ーーーーーー
午後からの仕事には全くと言っていいほど集中できなかった。彼女ー神条天音の言葉がここまで心に引っかかるとは思ってもいなかったのだ。
『ちょっと...ちょーっとだけですけど....明るくなった....気がします。』
「.....ちょっと、か。」
自分は変われているんだろうか。今までの死んだような生活から。「目標」に向かう生活へと。自分だけではわからないことを、他人から言われると、少し、自信が湧いてくる。確かな確証を得ることによって、真也は己の行いに誇りを持ち始めていた。
定時通りに会社を後にした真也の表情はさっきまでのそれとはまったくの別物だった。
明らかな敵意をもつ目つき。右手には常に力を入れて歩く。
人通りが少なくなってきた街路樹で真也は気付いた。
「....!」
(感じる!神器使いだ!)
自分から神器使いに気付いたのは初めてのことだった。その感覚を頼りに道を辿っていくと街の港に着いた。
緊張が走る。コンテナの後ろで周りを確認しようと少し顔を出し辺りを見渡す。すると。
そこに広がっていたのは、いくつもの弾痕と凄まじい火薬の匂いだった。数発だけじゃない。百発どころか何千発もの弾痕がある。
「これも神器...なのか...!?」
辺りの歪さに驚愕していると何十発もの銃声が響き出した。咄嗟に身体を隠そうとコンテナから遠ざかり距離をとる。しかし、どこを見渡しても人影が見えない。そして再び、銃声は響き渡る。その弾筋を目で追うと空から発射されていることがわかった。
空を見上げると、眼に映るのは、真夜中の空に綺麗に並んだ何百丁もの銃。その中心にいる人物はまるでオーケストラのように華麗に銃を操る指揮者。それに対峙するのは、機械じみた剣を振るう赤の戦士。指揮者一度手を振るえば直ちに演奏が始まり、いくつもの弾が飛び交う。それを撃ち落とすように戦士は剣を振るう。
明らかに前日を凌駕する戦いが今まさに、そこで行われていた。
ーーーー 2 day ② ーーーーーー
終