2 day ①
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悪夢のような一日が終わり、新たな一日が始まる。神器使いの戦いがついに始まったことを認識した日でもあった。
家を出る際には、いつも通りではなく、周りを警戒するようになった。
「..まぁ、こんな真昼間からは...ないか..」
家を出て周りを確認し、問題がないことに少しホッとした。
そして、ちょうど会社が見える位置まで来た瞬間だった。
ーーーーー!?
背後からの謎の視線を感じとる。
(なんだ!?)
昨夜のような殺気とは違い、なんとも言い難い謎の視線だった。
だが、その視線はいつのまにか消え去った。
会社の昼休み。
いつものように人との接触を避けるように屋上へと逃げ込んでいた。
タバコに火をつけ煙を吸う。この時だけが自分が唯一安らげる時間なのだ。ふと、右手を見つめる。この力を得た時から、自分の中の何かが変わった。心の支えの代わりができたようなそんな気分。久しぶりに生きた心地がする。真也は右手を再び握りしめ軽く微笑んだ。
「なーにしてるんですか?せーんぱい。」
突然話しかけられ思わず身構えてしまう。
「...どうしたんですか?急に身構えて。」
指摘され我にかえる。
「...あぁ、いやなんでもない。」
話しかけてきたのは同じ部署の後輩の神条天音。真也とは真逆の性格であり、事あるごとに話を振ってくる。彼女曰く、息苦しそうだから。だそうだ。
「まぁ、いいですけど。そーいえば先輩。」
「...なんだ。」
「ちょっと...ちょーっとだけですけど....明るくなった....気がします。」
「....いつもと変わらない。俺はいつも通りだ。」
「いいえ!変わりました!私が言うんだから間違いないです!」
「...なにかいいことありました..?もしかして〜....彼女ができた....とか?」
「いい加減にしろ。俺は何も変わってなんかいない。彼女だって...!」
「そう...ですか...なら...」
「悪い、言い過ぎた。俺は先に戻るからな」
そう言葉を吐き捨てついでにタバコも捨て、その場を後にした。
屋上に残った彼女はしばらくの間ただ出口を見つめ、一言だけ。
「.....よかった。」
そう、呟いた。
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終
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