0 day ②
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それからの毎日は、まるで抜け殻のような生活だった。生きることも死ぬことも考えられずただただ毎日仕事をして帰る、そのルーティンをこなしていただけに過ぎなかった。彼女の家族からも酷く暴言を浴びせられた。何も言えず全ての言葉はその通りであり何一つ間違いがなかった。自堕落で、生きた心地もせず、かといって死んでいるとも言えない不安定な人間にまで彼、深神真也は落ちていった。
ある日、いつものように仕事が終わり、帰路を辿っている最中のことだった。街灯の真下、黒のコートを羽織り、こちらを見つめながら佇む男が一人、そこにはいた。一瞬目があった気がしたが、彼はまた視線を下に向ける。そのまま横を通り過ぎようとした時、
「望みはなんだ。」
男が発した言葉は、真也の心の奥深くに刺さった。
望み。その言葉は抜け殻の真也にとても響いていた。ただのつまらない毎日。心の大事な部分だけが抜け落ちていた日々。
「なんでも望みが叶うとしたら、お前は何を望む。」
変えられるのか。そんな日々を。
「決まっているはずだ。お前がこれまでもっていたもの。それを取り戻したいのだろう。」
ああ、決まっている。だからなんだ。それが、叶う?そんな訳が、
「望みを叶える方法はたった一つ、
ー戦え。
最後の一人になるまで。」
「戦う?何と?」
「参加するのか、しないのか。まずはそこからだ。」
こちらの言葉には耳を傾けない。独白のような喋り。
だが、ただ一つ真也に投げかけられた質問。その言葉だけで十分だった。
「乗ってやる。その戦い。望みが叶うなら、どんな奴だろうと戦ってやる。」
男は、何も言わず、ただ不気味な微笑みで真也を受け入れた。
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終
ありがとうございました