3day⑥
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思考が停止した。
裏切りの裏切りに合った天堂はもう何も考えられなかった。
今までリスクを回避するために様々な策を講じて実行してきたが、その中で最大のミス。
最低のミス。
一生で一度の一番大事な賭けに彼は負けたのだ。
ならば、このまま木っ端微塵となり、生涯の幕を降すのが、普通なのだろうか。
彼の人生はこんなあっという間に終わるのか。
ー終わるだろう。それが人間というちっぽけな生き物なのだから。
他人を蹴落とし、少しでも自分の得のためになるように生きるよう設定されている人間だからこそ、このような死に方が最もふさわしい。適している。
だが、天堂は違った。なぜなら、彼は一度死んでいる。
他人に蹴落とされ、崖の上から落ちていった側の人間。
敗者側の人間。
つまりは死。一度蹴落とされたものは一生そこから這いずりながら生き、そこから勝者になる者は、全世界の人間の中でも片手で足りる程度。大抵の人間はそこで、終わり。
そう、大抵の“人間”なら。
二つの閃光が直撃する。
二人が彼の死を確信していた。
巨大な爆発の中、灰色に輝く装甲がちらちらと見える。
それに気付くと真也は一気に距離を取る。
真也でさえもその不気味さに気付いていた。
突風が吹く。
その風は、天堂の周りを充満していた煙を掬い上げ消した。
そこに立っていたのは、灰色の鎧のような皮膚を纏った怪物。
先程までいた、天堂とは全くの別物。
歩く。
二つの攻撃などなかったかのように軽快に。
と同時に、怪物の手には、どこからともなく出現した剣が握られていた。
それは天堂が持っていた神器に酷似している。
徐々に間を取ってくる怪物は、突然真也に向かって走り出す。
身構えるが、急な事態に対応できず、反応が遅れてしまった。
「っ!まずい!」
振り下ろされた剣は、真也の頭上で止まっていた。
「君の正体がまさかエクリクスだったとはね。都市伝説ではなかったようだ」
剣を受け止めているのは、橋の上に立っていた銀色の鎧を纏った神器使いだった。
何度か剣撃を交わした二人だったが、怪物の方が、突然川の向こう岸まで飛び、姿を消した。
「たてるかい?手を貸そう。」
そう言って、左腕を差し出し、彼の右手を取り、真也は立ち上がった。
「災難だったね。ここでエクリクスがでるのはイレギュラーだった。」
「けど、安心するといい。君はこの程度では死なない。」
「・・・・」
しばらくの沈黙の後、真也は口を開いた。
「エクリクスってあの都市伝説のか。」
「ふふっ。あぁそうだよ。人間が死んで選ばれた者だけが成れる。人類の進化体。エクリクスさ。だが、さっきの彼を見ると、あれは随分前からエクリクスになっていたみたいだけど・・」
こちらに視線を向けハッと何かに気付き、
「喋りすぎたかな。今日はもう帰るといい。戦闘に慣れるのはもう少しかかりそうだけど、大丈夫。君は僕が守ってあげるよ。」
「なんだと。何をいっているんだ。お前は。」
「借りがあるからね。真也には。僕は龍可。龍ヶ崎龍可。よろしく。」
「お前!なんで俺の名前を!・・」
話の最中だったが、龍可は、翼を広げ空に飛び立ち、消えていった。
「なんだったんだ。あいつは。」
日々不安と疑問が増えている真也に、更に疑問を増やした一日が、今日も終わりを告げた。
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終
ありがとうございました




