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魔眼の黙示録  作者: 細川女々男
神眼と隣国の王
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ヴァン・アーカイブとホワイト

見渡すと俺とヒエを囲むように本棚がそびえ立ちその向こうには一人の男が深々と椅子に座り膝をついていた。


一目見て気がついた。

確実にこの人がボスと呼ばれる人だという事に。


年は二十代後半ぐらいの若い男でモテそうなルックスとカリスマ性が滲み出ていた。


「あのー。ここは一体どこなんですか?俺本当に何もわからなくて。」


「何も知らないか。まぁまずはそこに座りたまえ。私の名前はヴァン・アーカイブスだ。みんなにはボスなんて呼ばれているが別にヴァンと呼んでくれても構わないよ」

「俺はイチノセ テンリです。俺はこの世界のこと本当に何も分かりません。先ほどまでニホンと呼ばれる所にいました。」


ヴァンさんの言うとうり俺は来客用の椅子に腰かけた。


目の前の机には飴のような物まで置いておりまさに校長室に招かれたようだった。


ヴァンさんは俺のことを全く奇妙に思わず俺の話をしてすんなり聞き入れた。


しかし俺の横に座っているヒエは頭を横に傾げ、なにを言っているのかという顔をしていた。


俺からしてみればこの一連の流れの方が分からないし理解できない。


「では本当に最初から話そうか。今この国は戦争中だ。そして私はこの地区の王というわけだ。地区の名はホワイト。どこの国とも戦わず、手を組まない潔白から取って付けた。ここまではいいかな?」


俺の頭は今とてつもなくごちゃごちゃしている。

戦争?王?


俺からしたら戦争なんてひと昔前でしている国は遠く無関係だと思っていた。

それを今この国は戦争中なんて聞くと汗が止まらなかった。


拳を握ると汗が滲み。目の前の飴の包み紙を開けることができなかった。


「なんとなくはわかりました。そして俺もホワイトに加担しらって事ですか?」


「まぁ待ちたまえ。話はまだある。国と言っても今は国じゃないある事件がきっかけで国が成り立たなくなり各地区に王を決め、新たな国の王を決めるために争っている。簡単に言えば内乱というやつにも似ているかも知らんな」


まさに俺らの世界でいう韓国や昔のドイツなんかのもっとひどいバージョンったことなのかもしれん。


俺の知ってる日本や世界はここにはないんだってようやく理解した。


もしかしたらドッキリなんて考えを心のどっかに残していたが自分の見てきた光景と話がリアルすぎて夢や嘘には思えない。


何よりあの坊主に殴られた痛みが証拠だ。


「まぁ、国の状況はざっとこんな感じだ。次は鍵だな

この世界には勿論だが魔法や獣族なんてのもいるが人間が一番弱い種族だった。だから戦う手段として鍵と契約して自分の力を飛躍的にあげた。鍵とというのは元々は物や生き物だったケースが殆どで強い想いを抱くとそれが鍵になり思想や力が残る。」

「じゃあヒエは鍵ではないんですか?喋るし動くし」


ヴァンさんの話だとヒエと俺の持ってる鍵とでは全く異なる筈だ。

話の筋はわかるが所々に謎が残った。


いつしか俺は汗もやみ、飴を一つ口に入れ込む事に成功した。

「ここからはワシが説明するかな。もちろんワシも鍵だ。ワシみたいに喋ったり動いたりするのは稀なタイプでな。基本はテンリの様な鍵が普通だ。さっき会ったレインという男は刀が鍵なんだ。そーやって鍵は色々な形で存在しとる。そしてこっから三つに分かれる。ワシの様に自立して戦うタイプ。テンリの様に自己強化するタイプ。物を変化させたりするタイプ。に分かれる。まぁ詳しくはこの城にいる者に会えばわかってくるだろう。」


わりと鍵ってのも奥が深いんだな。


色々学び過ぎてなにがなにか分からんくなってくるな。


じゃあ。俺の鍵は元々なんだったのだろうか。どんな生き物か物だったのだろう?


「一つ質問だけど。人が強い意志を抱けば鍵になれるの?」

「いい質問だねテンリ君。ないとは言えないが人工的に生み出したりは当然できない。仮に鍵ができたとしてもそれを使いこなすには鍵に認められる器にならなければならない。だからまず鍵を使える人が珍しいし鍵自体滅多に生まれないんだよ。」


「なるほど。じゃあ俺は珍しい人間になるってことか。だから俺はあの坊主に鍵を狙われてたりしたのか。」


ようやく鍵の重要性とこの世界の仕組みが理解出来てきた。

思ったよりこの世界面白いのかもしれん。


この時の俺は世界を鍵を命をゲームの一部の様にしか認識してなかった。

そんな浅はかな過ぎる考えと無知な自分を知るよしもなかった。


「大体話の流れを掴んだと思う。改めて聞かせて欲しい。ホワイトに入って私達と一緒に、争いの為ではなく何かを守るために戦ってはくれないか?イチノセ テンリ」


俺はあっちの世界でも多分選ばれている方の人間だったと思う。

でも今俺、すごくワクワクしてドキドキする。

きっとこんな風に誰かに期待されたかったんだ。


「俺なにができるか分からないけどホワイトに入ります。そして戦います」


「ありがとうテンリ君。改めてようこそホワイトへ。」


ヴァンさんは深々と頭を下げた。そして頭をあげると俺に向かって手を伸ばした。


俺はヴァンさんの手をがっしりと掴んで握手した。


誰かに触れ合うのなんて久しぶりだ。


この世界ならきっと俺何かを見つけれる気がする。


「早速だが任務についてもらいたい。入れ二人とも!」

するとドアが開き二人の少女が入ってきた。


「紹介しよう。メガネがケイ・スーだ。ちっさい金髪がシク・テオランだ。」

「よろしくお願いします。テンリさん。」

「おい!ボス私は見た目は小さくても心は大きいんだ!よろしくな子分。私のことは姐さんと呼べよ!」


随分おとなしいメガネっ娘とうるさいチビが出てきたな。


でも二人とも美人だ。

スーさんは紫のおさげで可愛くらしく、姐さん?は可愛くて妹にしたい。


「二人ともとりあえずよろしく頼みます。」

「ワシはいったん主様の様子を見に行くので失礼する」


「あ、待ってくれヒエ。俺もついて行く礼を言いたいんだ。」


「おい子分任務だろ!何処へ行く気だよ。」

「テオランちゃん、ちょっとぐらいいいと思う。」


二人の少女は全くの正反対の性格のようだ。テオランは落ち着きがなくスーは落ち着き過ぎるぐらい落ち着き事を判断していた。


この場に居合わせる五人ともが違う事を考えている様子で場にまとまりのない雰囲気を醸し出していた。


「任務は明日からだ。だがまず三人には内容だけ伝える。テンリ君お見舞いはその後だ。それで任務は隣国に潜入して貰う。」


俺にはその任務のレベルが分からなかったが、二人の表情を見ているとどうも不安な雲行きなのは俺の右目でも判断できた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日の鍵Word……「ヴァン・アーカイブ」


彼はホワイトの王で若い男である。テンリ曰く彼は怒るとめんどくさいタイプらしいです。

実はモテなくてそれを悩んでるとか。

恋愛より仕事を取り。昔の彼女に私と仕事と迫られた際迷わず仕事と言うぐらいの実はバカ。










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