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Aeternum / perpetuuS  作者: 紅莉
一章
8/40

07

地上に戻り、外を見てみるともうすでに空は暗くなり始めていた。生徒会長は小屋を出ると、何処かへと電話をかける。

 僕は手持無沙汰になり、小屋の周囲を生徒会長から離れない程度で探索することにした。

 まずは、小屋の周りを一周。木でできている小屋の一角がコンクリートになっていて、ここが地下への入り口なんだな、と悟る。

 そしてその途中で小屋の裏側に大きな森があることに気が付いた。森の入り口に立ってみると、ひんやりとした風が吹いてくる。風の精霊でもいるのか、その風は心地よかった。

 そろそろ戻ろうかと立ち去ろうとした時だった。

「――」

「……え?」

 何かが聞こえた気がして、森の方を向いてしまう。

 よく見ると、木の陰から小さな何かがのぞいているのが分かる。目が合うと、その小さな何かは奥へとするりと消えてしまった。

 表に戻って、生徒会長の様子を見るとまだ話し中のようだ。

「……すこしくらい、いいよね」

 僕は、森の奥へと進むことにした。


 森の奥は、夜だからか薄暗く、光の魔法を使わないと足元が見えなくて不安定になる。

「《光球(ライトボール)》」

 少ない光の精霊の力を借りて、明るい球を作り出すと、僕はそれを足元に配置した。これで足元が見えないという危険は回避できるだろう。

 道はすぐに分かった。小さな粉のような魔力がよく光で照らしてみるとキラキラと輝く。僕はそれに続いて奥へと進んでいった。

「――」

「こっち?」

 と、不意にまた声が聞こえてくる。その声を頼りにさらに奥へと進んでいくと、開けた池のような場所に出た。池というよりは、湖に近い。中央には丘があってそこには立派な木が生えている。最初に見た小さな何かはそこにいた。

「光の子が来たよ」

「水の子が来たよ」

「光だってば」

「水だったよう」

 小さな何かはこちらには気が付いて無いようで、一回り大きな、それでも小さい何かに話しかけている。

 じっと見ていると、大きな何かは僕に気が付いたようで小さな何かに話しかけていた。

「ほら、お客さんですよ。君たちが話していた子じゃないのかい?」

 すると、小さな何かとも目が合う。気まずくなった僕は、木の陰に隠れるように回り込んだ。

「そうそう!あの子!」

「あの子、***の子!」

「……え?」

 よく聞き取れなかった部分があって、聞きに行こうとそちらへと踏み出した時だった。

 生徒会長の声が聞こえる。どうやら僕を探してこっちまで来たらしい。

「お行きなさい。***の子。迎えが来たようですよ」

 大きな何かはそう言うと、小さな何かとともに消えてしまった。

 風に乗って、声がまた届く。

 ――ここは、憩いの場所。また来たくなったらいつでもいらっしゃい。あなたなら歓迎するわ

 ふわり、と風が吹いてその声は消えていった。

 と同時に生徒会長に見つかる。

「紫藤、こんなところにいたのか」

「あ、すみません、お話し中だったから声もかけずに……」

 後ろを振り向いても、もう何もいない。

 残っていたのは、光に照らされなくても分かる、魔力の欠片だけだった。

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