06
階段を降りていった先には、広い部屋があった。コンクリート壁で、地下だからか少しひんやりとしている。
そしてその中央には、机と、ひとつの水晶玉が置かれていた。あれが、魔力測定の水晶だろう。
「じゃあ、水晶に魔力を注いでみて」
生徒会長の指示で水晶に魔力を注いでみる。すると、水晶のなかに、青と白の靄が出てきた。
「水と光か。珍しいな二属性なんて」
その光景を目の前で見ていた生徒会長が呟く。青は水属性、白は光属性の象徴色だ。
「そんなに珍しいですか?」
「あぁ、普通は二属性なんてめったに見ない。しかし光の方が若干強いみたいだな」
そう言われてよくよく水晶を見ると白い靄の割合が多くなっていた。最初は同じぐらいだったはずなんだけども。
「水晶の中の割合が変わるとかいう話は聞いたことはないが、靄の量が感情によって変わるということは聞いたことがある」
それじゃないか?と言う生徒会長に納得して、両手を水晶から離す。すると、靄は最初から無かったかのようにすぐさま消えてしまった。
「紫藤は光として学園には登録しておく。水属性の方は口の堅い先生を用意しよう」
二属性もちなんてバレたら大変だからな。と言って生徒会長は後ろを向いた。
確かにそうかもしれない。珍しいのは、不変を望む彼らにとって邪魔なだけかもしれない。
そんなことを考えていたから、そのあと生徒会長が呟いた言葉なんて知らなかった。