05
到着したのは、陽佳学園の西門からずっとまっすぐ、途中にあった小さな林を通り過ぎたところにある、小さな小屋らしきところだった。小屋と言っても、一軒家ほどの大きさはある。中は二階建てになっていた。
「ここが、魔法訓練所の入り口だ。今日はここで魔力測定をしてもらうことになっている」
魔力測定、と聞いて少し落ち着かなくなるのが自分でも分かった。
魔力測定というのは、個人の中に眠る魔力の種類を見極める測定のことだ。一番多く、安定している魔力の属性を水晶の中に映し出すという特殊だが、この世界の人間――少なくとも、この北の大地の人間なら生まれてから一回以上はやったことのある測定である。健康測定に似ている。
編入直後に、とも思ったが、それはそうだろう。この学園は所謂エレベータ式の学校で、初等部で入学すればそのまま高等部、はたまた大学部まで罪か何か犯さなければ進学できる学校だ。
それに、そもそも僕は――
「……変な話、僕一回も魔力測定受けたことないんです」
そう、受けるべき魔力測定を一回も受けたことはない。
それもそのはず。僕は、
「は?……あぁ、今まで学歴がなかったのはそのためか」
自宅学習とでもいうのだろうか。とりあえず、学校というものに行ったことがなかったのだ。なので本来受けるべき時に魔力測定を受けてはいない。
魔力測定に似たことはしたことがあるが。
「じゃあこれが初の魔力測定か。魔力の出し方は分かるな?」
「はい」
「じゃあこっちだ」
そう言って、生徒会長は小屋の扉を開ける。
中は、思ったよりもきれいで、広かった。手前に受付があり、奥は談話室のようになっている。
生徒会長は受付の人と一言二言交わすと、こっちを向いて手招いた。
「こっちだ。行くぞ」
そのまま、談話室のようになっている部屋の奥へと足を進めていく生徒会長に僕は慌ててついていく。そこには、また扉がついていた。重そうな石の扉だった。
「この中だ」
生徒会長は、そう言うとカードキーのような物を石の扉に触れさせる。すると、石の扉は左右に開き、奥には下へと続く階段が現れた。生徒会長はその階段を下りていく。僕もそれに続き、階段をゆっくりと降りていった。