04
「えっと、生徒会長は何が得意なんですか?」
「魔法か?火だな」
それっぽい。と思いながら校舎へと歩いていく。
――この世界、祝福の世界は、魔法と科学が発達した世界だ。その中でも、二つに分かれた大地の北側を北の大地と呼ぶ。
火というのは属性のことで、他にも水、風、土そして光と闇がある。それぞれに精霊がいて、その精霊が作るのが魔法の源、魔力と呼ばれるものだ。これは魔法を使うのに欠かせない必須なものだが、無限にあるわけではない。
また、魔力は生物すべてに宿っているとされている。人間は多種多様な魔力を持っているが、他の生物はそうではない。大地に生きるものなら火や土を持っているし、水に生きるものなら水や風を持っている。そして、その持っている魔力がそのまま得意とする魔法につながる。
「紫藤は何が得意なんだ?」
「僕ですか?僕は――」
――です。と答えようとした時だった。それが聞こえてきたのは。
突き抜けるような悲鳴に似た、女子高のようなノリの生徒会長に対する歓声。
生徒会長が手を軽く上にあげることで、一瞬にしてその歓声は鳴りやむ。
僕は、ただすごいと思いながらも生徒会長が淡々としているのでそれに倣って素通りすることにした。
――僕に対する罵倒も聞かなかったふりをしながら。