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次に目を覚ましたのは、部屋の扉がノックされた時だった。
「起きてるー?」
その声に反応して起き上がろうとした。した、が、まだ腕が絡み付いていて動けそうにもないので、起きてるよ。とだけ返事をする。
「朝ごはんできたよー。あ、開けても大丈夫?」
「あ、開けちゃダメ!」
この状態を見られるわけにはいかない、と必死で止める。すると、なにかを察したのか蘭君は早く起きてきてねー。といい、そのままどこかへと行ってしまった。多分、足音から察するにキッチンの方へと行ったのだろう。僕は、陵さんを起こすことにした。
「陵さん、陵さん。朝ですよ、ごはんできてますよ」
すると、さらにぎゅっと抱き締められる。これは――……。
「……寝たふりしてもダメですよ、陵さん」
「…………ばれてたか」
ようやく、陵さんの腕から解放される。僕は大きく伸びをすると、陵さんの方へと改めて向いた。
「おはようございます」
「うん、おはよう、冬華」
そのまま、唇へとキスをされて、陵さんは部屋を出ていってしまう。一方で、残された僕はというと……。
「……あのキス魔!」
顔を真っ赤にしながら、その場で呆然と立っていた。




