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「あ、来た来た。こっちよー、冬華君」
森を抜けて西門へと着くと、目の前には大柄な男と少女が立っていた。少女は冬華を見かけると大声で話しかけてくる。男の方はというと、少女の声で気が付いたのか数瞬遅れてこちらを見る。それに慌てて駆け寄ろうとして、
「ぎゃっ!」
何かに躓いた。
そのまま前のめりに倒れていき、地面につこうとした瞬間。ふわり、と体が持ち上げられる。
気が付くと、男に抱えられていた。
「永介君、ナイス!」
「え、は、え?」
足が浮いている。
訳が分からないまま、男は校門の中へと歩きだす。このままですか?という言葉は僕の中へと消えていった。それは、少女が楽しそうに、
「ようこそ陽佳学園へ!楽しんでいってね!」
そう、言ったからだった。
少女は校門の外で手を振っている。こちらへと来る気はないらしい。
……当たり前だ。ここは陽佳学園。北の大地唯一の魔法学園。男子校である。