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入学式が終わると、新入生は各教室に散らばっていった。僕は一のA、蘭君は一のBだったから、教室の前で別れることになる。
蘭君が教室に入ったのを確認してから、僕も自分の教室へと入ることにした。
教室の中は、きゃっきゃっ、と笑う声で溢れていた。僕はそんな声をどこか遠くに感じながら黒板に貼り付けられた座席表を確認する。僕の席は、窓側の一番後ろだった。仕方ないか、編入生だし。
席につくと、目の前に座っていた男がこっちを向いた。
「よぉ、お前が編入生?俺、山口 昇って言うんだ。よろしくな、編入生!」
テンションの高い挨拶に、引きながらも挨拶を返す。
「僕は紫藤 冬華。よろしく」
「冬華かー!よろしくな、ってそれ、購買のところのシルバーアクセサリーじゃねぇか!いいな、どうやって手に入れたんだよ」
昇君が、右手にはめた指輪を見つけると、興奮したように話してくる。
貰った、と正直に話せば、逆に驚かれた。
「まじで!?俺、あそこに毎日通ってるけど貰ったことなんて一度もないよー!」
「そうなの?」
「おう!あそこの店長気難しくてさ。この間やっと声かけたら反応してくれたくらいだからな!」
いいなー、シルバーアクセサリー、と言うので、僕の持ってるやつあげようか?とたずねたら、いいのか!?と言われた。
「シルバーアクセサリーなら余るほど持ってるしね。あげるよ」
「いいのか!?サンキューな!今日の放課後お前の部屋いっていいか?貰いに行くからさ!」
いいよ、と約束を取り付けたところで、先生が入ってくる。昇君は、それを見て、「じゃあまた放課後な!」と言って前に向き直した。




