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次の朝は、慌ただしかった。
何故かというと、今日が入学式だからだ。……と言っても、蘭君はそんなに慌ただしくはない。おそらく、エレベーター式の学校だから、慣れているんだろう。こういう事にも。
「ね、ネクタイの縛りかたってこうでよかったっけ……?」
「どれー?あ、ちょっと違うかなー?こうするんだよー」
蘭君にネクタイを直してもらいながら、他の支度も進める。昨日作ったピアスを右耳にはめて、鞄の支度もする。蘭君の方はというと、もう支度はできているようだった。手際がいいというか、なんというか。
「はいー。かんせーい」
「ありがとう」
「いいよー。さぁ、早くいかないといい席なくなっちゃうよー」
鍵とスマートフォン、それから鞄を持って、部屋を出た。
蘭君に案内されてついたのは、学園の中でも特に大きな講堂らしい。オペラ座みたいな感じだ。実際は行ったことないけど。
そこには、もうすでに何百人という人が集まっていた。僕たちは、空いている後ろの方の席を選んで座る。
「よかったよー。この席残ってたー」
「後ろの方だけどいいの?」
「いいのいいの。理由はこの後分かるからねー」
いい席がとれたらしい蘭君は、嬉しそうに寝始めた。……寝た!?
「おやすみー。あ、防聴魔法あったらかけとくといいよー」
「ぼ、防聴魔法?」
かけられるにはかけられるけど、そんなの必要なのか?と思いつつ、《防聴》をかけた。
入学式が始まると、予想とは裏腹に静かに式が進んでいく。防聴魔法かけるぐらいなんだから、うるさいかと思ったんだけど。という疑問は、次の瞬間にはれた。
「では、今期の生徒会の発表です」
その途端に上がる黄色い声。僕は、唖然とした。ここ、男子校だよな……?
生徒会長や見たことのない綺麗な人たちの紹介が終わり、生徒会長の挨拶も終わったところで、蘭君が目を覚ます。
「グッドタイミングだったね」
小声でそう呟く彼に、え?と返しつつ、壇上の方を見ると生徒会の人たちがこちらへと向かって歩いてきていた。どうやら、退場するらしい。目の前を綺麗な人たちが通っていく。……なるほど、こういう事か、と妙に納得した。




